日常の中にある非日常
大学生には夏休みというものがない。
実際には存在するが、大学生というのは「自主休校」という便利な言葉があり
自分の好きな時に、好きなだけ休むことが出来る。
自主休校は対処をしなければ欠席扱いになるので、まだ救いがある
しかし、なかには授業に出ていないのにあたかも出席していましたと言う
「代返」という裏ワザが存在する。
この裏技を駆使すれば、1年間ほとんど大学に来ずとも
試験のみ受ければ進級が出来てしまう学生もいる。
大学というのは、学びの場であると同時に
社会人になる前の遊びの場としても扱われる。
それは入学にあたっての意気込みの差であり
在学中における補助・援助の差だと感じる。
親から仕送りのみで生活する学生の大半は、遊びに走り
自分のバイト代で学費等をやりくりする学生は、勉学に勤しむ
完全に偏見による意見ではあるが、あながち間違っていない
では、自分はどちらに所属するのだろうか
考えてみれば今の様に自主休校という名のサボりを働いたのは
大学に入学してから初めてのことではないだろうか
遊びの為に休んだのではない、休みたいから休んだ
勉強に疲れてしまった自分が、休みをくれたのだ。
エアコンの殆ど効いていない教室で90分も講義を受けることにつかれた
同じことばかり話す教授のノートをとるのにつかれた
講義に出席してはいるが、ゲームをしている学生にイラつくことにつかれた
夏にある集中実習という研究室活動につかれてしまった。
もう既に大学生活というものに、疲れ始めていたのだ。
しかし、今までこの時間は研究室に居た為
いざサボってみると何もすることが無い。
ただ何となく見つけた喫茶店に入り、文庫本を2冊携え
今、コーヒーをひとくちふくむ。
窓の外を見ると、汗を拭いながら働く男性や保育士さんに連れられた子ども達
スーパーに来ているはずが雑談に興じ始める主婦たちなど
色んな人が、様々な理由や要因で動いている。
閉じ込められた教室という空間では起きない現象がそこにあった。
持ってきた本を読みながら、少し冷め始めたコーヒーを飲み
最近感じなかったゆっくりとした時間を楽しんだ。
1冊、本を読み終わるのと同時にもう一杯コーヒーを頼む。
2冊目はコーヒーが来るまで暖めておこう。
1冊目の本を思い返し、余韻に浸ろう。
完全に自分の世界に入り込むために
本とコーヒーの事ばかり考えた。
コーヒーに入れたミルクが渦を巻き
黒と白の境界が曖昧になるのと同時に
自分の世界へと溶け込んでいく
平凡な日常とは違う別の日常がそこにはある。
本を読んでいる間はしばしば時間を忘れてしまう。
2冊目を読み終えた頃にはすっかり日が暮れていたのだ。
昼食をすっ飛ばしてしまったことに気づき、途端腹の虫が騒ぎ出す。
夕飯まで我慢しようか、今食べてしまおうか
そんなくだらないことを考えつつ、本を仕舞う。
結局、この喫茶店一押しだというチョコレートケーキを注文した。
どっしりと重く、濃厚な甘さと香りが素晴らしいチョコレートケーキに満足し会計を済ませた。
日常の中にある非日常を思い出しつつ、夕飯の買い出しへと向かうこととした。
更新が遅くなりました
今回は大学生編です。