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夏の日は暑いけれども  作者: 清水 秋葉
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優しい日差し

 中学校に入学して最初の夏休みがやってきた。

小学校の頃と違うことがたくさんあって、最初は戸惑った。

テストの点数がこんなに重要だと思わなかった。

先輩に対して敬語を使わなければならないとは思わなかった。

担任の先生を含めて先生が怖い人ばかり。

何よりも部活という存在が、一番大きな変化だと思う。

小学校の頃はクラス内で遊ぶのが主だったが

中学校では部活内での繋がりが一番強いらしい。


 夏休み中も部活の練習があり、今日も部活の為に中学校へ行った。

制服ではなく、ジャージでの登校というのが楽しかった。

緑は1年、青は2年、赤は3年と学年でわかれており、自分は緑色を着ている。

遠目からも自分の中学校の1学年だということが分かる緑一色ジャージ。

自分は中学生になったのだと、改めて感じつつ中学校へ向かっている。


 学校は休みだというのに、賑やかである。

まるでお祭りのようで、中学校が学びの場であるという雰囲気はない。

運動部がグラウンドを上手に使い分け

汗をかきながら、苦しそうに練習している。

文化部は部屋で涼しく部活動を行っているのかと思えば

まだエアコンがつけられないのか、暑さに耐えている。

なかでも吹奏楽部は窓を閉め切らなければならない為、苦しいだろう。

自分も部活の場所へ行き、準備をする。


 部活へ入ったきっかけは何ということもない。なんとなくだ。

中学校というのは、大半が同じ小学校からの生徒である。

友達作りというのは殆ど必要がない状況がクラスで成立しているのだ。

しかし、他の小学校から来た生徒は別の話だ。

友人関係が既に出来ている輪に、付け入るすきはほとんどないのだ。

だから友人の作りやすそうな部活に入部し、今もこうして練習に勤しんでいる。


 しかし、そう簡単に友人が出来るわけがない。

部活の練習中もグループに分かれ、一緒に練習を行う友人はいない。

元から人と話すのが苦手ということもあり、自分からは歩み寄れない。

いつも一人で練習をしているのだ。

他の人がうらやましいとは思わない。別に一人でも練習が出来るから。

人間関係で煩わされるのは、とても苦痛に感じるのだ。

今日もいつもの通り、一人で練習をする気持ちでいるのだ。

どことなく気だるさを残しつつ、準備を終え、部活の場所まで向かった。


 部活は始まったが、人数が明らかに足りていない。

練習も皆バラバラで、夏休み前とはやる気が違う。

大体は、帰省や家族旅行で休んでいるそうだ。

あとは遊びたいのだろう。

いつもなら一人で練習をしているのだが、欠員が出ているからか

私もペアを組んで練習を行うこととなった。

初めはぎこちない会話からだった。

趣味は何なのか、夏休みは何をする予定なのかなど

特に何も意味のない会話を続けていたはずだった。


 その質問の内に、なぜ部活に入ったのかという質問があった。

他の質問の様に適当に流せばよかった。

何を血迷ったのか私は「友達を作りたかったから」と答えた。

それを聞いたペアの子は無言になってしまった。

当たり前だ、こんな痛い理由なんだ。引かれてしまった。

その日の練習は終わった。明日も部活がある。休みたい。


 次の日も部活には参加した。正直さぼろうかと思ったが

親を心配させては良くないと思い、とりあえず行くこととした。

昨日の痛い発言はみんなに広まっているのだろう。

どんな目で見られるのか、怖かった。


 しかし、予想外の反応があった。

その日は色んな人に話しかけられた。

いつもやっている練習についてや今日の予定など

昨日とは全く違う反応だった。

話している口々が言うには、話しかけづらかったらしいのだ。

仲良くしようにも、一人ですぐ練習を始める為、キッカケがなかったとか。


 その日、初めて部員たちと帰宅した。

学校で禁止されている帰宅中のコンビニでの買い食い、公園でのたむろ。

暑い日差しが優しさを見せる夕方、初めて夏の日差しを感じることが出来た。

ちょっとクドイ言い方と幼さを残してみました。

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