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乙女ゲームの逆ハーレムが、こんなのだとか聞いてない。  作者: 浅春風花
第一章 ~幼少期~
4/9

3

生まれてくる兄弟のために、年齢を調整しました。

美琴・哉斗→幼稚園年中

奏也→小一

となっております。ストーリー等はなんら変わりありませんので、気にしなくてけっこうです。

 始業式から、一ヶ月の月日がたった。

 妊娠報告があった日は、もうすでに三ヶ月が経過していたらしく、今は元気に成長しているらしい。

 性別も分かっているらしいけど、生まれるまで聞かないようにしてるんだとか。


 そして、あの時選択した逆ハーレムだけど、あまり分からないのが現状。

 べつに取り合いとかされてるわけでもなく、かといってないがしろにされているわけでもない。いたって平凡な日常を送っている。まあ、それが普通なんだけどね。

 ただ、奏也兄さんのシスコンさが、日に日に増していってる気がする。

 前も、ちょっと転んだだけで、「び、病院!きゅーきゅうしゃ!」と騒いでいたし。あれはないわ。


 そして今。私は、そのシスコンな兄に抱きしめられております。

 いやぁ、顔はシスコンでも美形だからね。いくら私の中身が高校生だといっても、心拍数が上がってしまうのはしょうがないよ。


「ねえみこと……わかってるよね、俺の言いたいこと……」

「……なんのことかワカリマセン」

「俺、前に言ったよね?勝手に俺の部屋に入ったらお仕置きだよ、ってさ」

 ああ、そんなこともあったかな。

 能天気にそんなこと考えてたら、更にきつく抱きしめられた。


「まあ、俺の部屋に入ったくらいならまだしも、ねぇ?俺の秘蔵コレクション№10に入るみことの写真を捨てるなんて!しかもビリビリに破ってさ!」

「本人の許可なく写真を撮るほうが問題だとおもいまーす!」

 そういうと、頭をぐしゃぐしゃに撫でてきた。まあいい、このくらいでお仕置きが済むなら、と自由にさせていると、何故かハイクオリティな髪型になっていた。錬金術でもしたのか、兄よ。

 しかもそれが幼稚園に行く前だったので、そのまま行くことになった。小学校は創立記念日で五、六年しか行かなくていいんだとか。くそ、いいな。


 この髪型で幼稚園に行くと、私の髪が可愛いと女子の間で人気になった。

「今度みことちゃんのお兄さんに会ったらしてもらおうかなぁ~!」だってよ。兄さん、ハーレムだよ、やったね。

 ……はっ、あれ、私じゃなくて兄さんに全部いってる?私のモテ期はまだですか、神様。

 いやいやいや、そんなことはないよ!うん!

 とりあえず哉斗に探りを入れてもらうことにしよう。


「かーなーとー!ちょっと来て!」

「何?あっ、今日遊ぶ?」

「違う違う、今日はねー」


 今さっき考えたことを話す。

 協力しなければしないで、こっちにもいくつか考えがあるけどね。兄さん呼ぶとか。


「えぇっ、皆がみことをどう思ってるか?なんでそんなこと……」

「だって……」

「ね、お願い」、と上目遣いで見てやれば、了承してくれた。ちょろい。

 ていうか、正直あれだ。このまま兄さんにしか好かれなかったら、逆ハーどころか兄妹での禁断の恋的な感じになりかねないんだけど。

 どうしたものか、と考えていると、哉斗が頬を赤らめながらこう言った。


「お、俺はみことが一番好きだけど……」


 ……嫁にしていいですか。


 *


 それから数日。

 水無月調査員――もとい哉斗が、調査報告をしてくれた。


「えっと……うちのクラスの男子達のそうごー的なひょーかは、『女子の癖に男子とよく気があって、男子より女子にモテるやつ』だって。でも、嫌いな人はいなかったよ」

「何その具体的なの」


 生憎だが、私に同性愛の気はない。そんなに女子に好意を寄せられてもこまっちゃうヨ☆……かなりイタイな。あれ、逆ハーレムってこういうことっすか?想像してたのと違うんですけど。まあ確かに、異性から好かれるってのは書いてなかったような。いや、そうだとしてもですよ?これはあんまりじゃないかな。ていうか、逆ハーの定義ってなんぞや。ちやほやされるのが逆ハーなのか、多くの人にひっそりと好かれるのか……つか、なに逆ハーについて真剣に考えてんだ。

 そんなことを考えてるなんて知らない哉斗は、難しい表情の私に「大丈夫?」と聞いていた。さすが私の嫁……げふん、幼馴染だな。


「私そんなに男っぽいかなぁ……」

「そんなことないよ、みことは……その、かっ、可愛い女の子だよ!」


 おお、天使が……!天使がここに居られますぞ!

 なんて茶番は置いといて。私は、もう勘付いていた。だって、ゲームに出てくるような鈍感な子じゃないもの!「ふぇ?」の言葉が似合うような、鈍感で傷つきやすい女の子じゃないもの!そんな子天然で中々いねーよ、妄想だけにしとけ!……おっと、取り乱してしまった。

 話が逸れたが、多分、哉斗は私を好いていると思う。いや、ホントに。


「ねーかなと、私のこと好き?」

「うん!」

 遠慮せずに聞ける、これぞ小さい子の特権!前に同じようなことを言ったような気がするけど、気にしない。

 ほらほら、絶対そうだよ!これは逆ハーの片鱗か……?

 いや、思い上がるのは良くない。なんせ前世(死んだわけじゃないけど)は彼氏居ない暦=年齢でしたしね。恋愛?何それ美味しいの?リア充のイチャコラなんぞ、見てもなんも面白くありませんです、ハイ。

 でも、私が付き合ったら兄さんがキレるだろうなー。……ハッ、やばい、禁恋兄妹恋愛ルート突入ですか。


 なにはともあれ、だ。まだ期待してもよさげのようなので、小さい子の特権である抱きつき&ほっぺちゅーを哉斗にした。口パクパクさせて、「奏也くんに見つかったらどうしよう……」と言っている。すまんな、シスコン兄さんが。


 あとは放置でいいかな。勝手に恋心に発展するであろう相手を見つけたし。

 あ、ただ、生まれてくる子があんなの兄さんにならないよう、最新の注意をはらっておかないと。

 またあいつが増えると思うと、たまったもんじゃないからな。

 ……弟じゃなくて妹で、さらにアレより性質タチの悪いシスコンだったらどうしよう。


 不安の募るなか、私は、ある事実に気がついた。

 あ、これ、授業さぼってんじゃん、と。


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