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『夏龍』  作者: どり
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「結局、『喉』っていうのは、なんのことだったんですか?」

「本のね、ページとページの間のところを『喉』っていうの。

ほら、この本の『周幽斎 夏龍』のところ、開いてみて」

 学園長に言われるがまま、英理はページをめくった。あの絵のもとになったと思われる美人画のページ。

そのページに挟まれるようにして、小さな一枚の紙切れ。

「紙くずがありますよ」

「それ、ゴミじゃないわよ。よく見て」

 拾い上げた眞虎の手元を英理は見つめた。辺が2cmほどの小さな四角い紙。

そこには縁取るようにこまかな模様があって、中心には銭五百文の文字。

それを両脇から挟むように竜の姿が描かれている。

「子供のおもちゃじゃないんですか? 子供銀行券みたいな」

「うーん、手書きみたいだし、なんだろ、これ?」

「まあ、おもちゃだなんて。数万円はするわよ。十万超すかも」

 学園長の言葉に二人は腰を抜かした。

「こ、こんなのが?」

「これがお宝ですよ! やっぱり、あの言葉はお宝を示していたんですね!」

 驚き、喜ぶ二人に、学園長は冷静かつにこやかに付け加えた。

「本物なら、ね」

「ええっ?」

「違うんですか」

「ごめん。あたしが描いたんだ。答えとしてね」

 二人は呆然と学園長を見つめた。

「い、いったい、学園長は何を知ってるんですか?」


「これはね、竜紋切手っていうの。日本で最初にできた切手。

だから裏にはノリもなし。目打ちっていう切り取り線もないの。

竜つながりで用意したんだけど、何年ぶりでかなあ。やっと見つけてくれたんだ。お礼を言うわ」

 言われた眞虎は驚いている。

「ど、どうしてこんなこと――って、全部、学園長が仕組んだってことですか?」

「ここが女子寮に改装されたし、何の置物を作りますかって話になったから、

竜にして、ついでに竜つながりでこんな問題と答えを作ったんだけどね。

結局、誰も解けなくて、そのうち忘れ去られたという……。実はあたしも忘れてたんだけどね。

眞虎ちゃんが来てくれたおかげで、昔の悪行、思い出しちゃったわよ。あはははは」

 学園長は高笑い。

「あ、あたしの名前……?」

「事務室で貸出簿に記入してたじゃない。ちゃんと確認したわよ。

でもうれしかったなあ。とっくに消滅しちゃったと思ってたのに、「ミステリー倶楽部」の名前がでてきた時には」

「は、はあ?」

「眞虎ちゃん、女の子なのに頑張ってるのね。

応援しちゃいたい、って胸がきゅんとしたわ。ほんとは答え、教えるのはルール違反かなあとは思うけど、

夏龍までたどり着いただけでもすごいと思って、最後は教えちゃいました。ゴメンね。

だけど、また顧問やりたくなっちゃった。眞虎ちゃん、いっしょにやりましょうか」

「ちょ、ちょっと待って。理解が追いつかない……」

 さすがの眞虎も目を白黒させている。

「そうなんです! 学園長!」

「ぎゃあっ!」

 眞虎の背後から出現した三つ編みメガネ。

「この娘がいないと、クラブの存続そのものが成立しないのですから。我がクラブのホープです。エースです。ジョーカーです!」

「な、何を言い出す……」

「僕も三年。部長を彼女に譲ろうと決意していたのです。なあ、英理よ」

「は、はあ」

「というわけで、眞虎よ。このクラブを頼むぞ!」

「あ、あたしが部長? ……って、そもそもあたし、入るなんて一言も言って――」

 ようやく、英理の頭の中で一つのスパークが起こった。

眞虎の両手をぎゅっと握りしめる。

「眞虎ちゃん! いっしょにやろう! 眞虎ちゃんが部長なら、僕うれしいよ! 頑張るから!」

 眞虎は大きな瞳をいっぱいに見開いて、英理を見つめていた。そして、その顔が一気に真っ赤になった。

「は、はいっ! ……わかりました」

 かろうじて、それだけを口にした。

「ついでに、この部屋を部室にしちゃいましょうか」

「でも、ここ、女子寮ですよ。僕達、入れませんけど?」

「あら、みんな女子生徒じゃないの? ちゃんと制服着てるのに、って、あら、変。もしかして変態さん? わあ。初めて本物、見たわあ」

「もう、三つ編みなんて、見ただけで変態だってわかるじゃないですかっ!」

 と、とにもかくにも眞虎新部長の下、変態ミステリークラブが復活しそうな気配です。

外はゴールデンウィークののどかな一日のことでした。

では。


 以上にて、このお話、終了でございます。


 と同時に、この「なろう」での活動も休止しようかなと思っています。まあ、理由はいろいろありますが、ここは居心地がいいので、ついつい、居ること自体が目的になってしまったようで、本来はあくまで、小説家になろう、なんですけどね。

 もう少し、小説に対する態度を検討してきます。


 今まで、ご指導、ご鞭撻くださり、感謝申し上げます。少しは小説家に近づいたのかなとも、全然遠いじゃんとも思うのですけど。

 ご迷惑ばかりかけた皆さん、お詫び申し上げます。

 また、お目にかかる日がくるかもしれません。その時はよろしくお願いしますね。健康に気をつけて、ご精進くださいませ。

 では。


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