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必滅少女伝  作者: 鈴神楽
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再生の玄武

今回は、玄武が出てきます

「モンスターボックスってあるじゃん? ヤヤだったらどこまで飛べる?」

 智代の質問に、良美が答える。

「百段だっていけるぞ」

 較が手を横に振って言う。

「撃術を使わないでだと、力学の関係上、三十段が限界だよ」

 十分に人間離れした数値にエアーナが溜息を吐く。

「クラスメイトがゴジラと喧嘩出来るのって、自慢になると思う?」

 雷華が手をあげて言う。

「あたしは、この間までヴァンパイアハンターやってたぞ」

 智代が感心する。

「それは、自慢できる気するね」

 その時、髪をお団子にした、中国人風の少女が駆けてくる。

 その後ろを数人の黒服の男が追跡する。

「まるで映画みたいな展開だね」

 智代の言葉に、良美が自慢げに言う。

「ヤヤと一緒に居るとよく遭遇する場面だぞ」

 遠い目をする較。

「運命って奴だね」

 そして、問題の少女が通り過ぎた後、黒服たちが横切ろうとした所を良美が足を出す。

 見事にこける黒服達。

「見事に足払いが決まったね」

 良美が自画自賛するが、較が溜息を吐いて言う。

「何もこっちから関り合いになること無いと思うよ」

 良美が肩を叩き言う。

「どうせ後で関るんだ、早いか遅いかの話だろ」

 悟りきった言葉に較が頭を押さえて言う。

「智代達は、先に行ってて、多分、また問題に巻き込まれるから」

「それじゃあ、また明日ね」

 智代達が手を振って去っていく。

 黒服の一人が、良美に掴みかかる。

 較が、その手を掴みで言う。

『連れが悪い事をしました。謝罪します』(上海語)

 頭を下げる較。

 しかし、黒服の男達は、囲み言う。

『邪魔する奴は、殺せと言われている』(上海語)

 肩を落す較。

「解って居たけど、少しは、平和な日常が欲しいな」



「もう、追って来ない。みたいね」

 黒服に追われた中国人の少女が肩で息をしながら言う。

「あんた日本語を使えたんだ?」

 そう声をかけたのは、雷華であった。

「しかしどうやって逃げたら、逆方向に向かった俺とかち合えるんだ?」

 中国娘が慌てた顔で言う。

「何処かでお会いしましたか?」

 雷華が肩を竦めて言う。

「さっき、連れがあんたを追っかけていた黒服に足を引っ掛けていた。今頃、やりあってるだろうな」

 中国娘の顔が青褪める。

「そんな、あいつ等は、危険なのに……。早く警察を呼んだ方が良いです。彼等は、とっても危険です」

 雷華は、気にした様子も無く言う。

「大丈夫だよ。ヤヤを危険な目に合わせられる人間なんてそうそう居ないから」

 その言葉に、驚いた顔をする中国娘。

「今、ヤヤと言いましたか?」

 雷華が頷く。

「そうだけど、どうかしたのか?」

 中国娘が顔を近づけて言う。

「ヤヤとは、鬼神、エンの娘で、地上最強の攻撃力を持つと言われてる?」

 雷華が大きく溜息を吐く。

「どんな噂を聞いてるか知らないが、関らないのがベストだぞ。とにかく問題を大きくする性質をもってるからな」

 中国娘が真剣な目で言う。

「お願いします、会わせてください」

 困った顔をする雷華。



「ヤヤお姉ちゃん達だったらまだ帰ってきてません」

 小較がそう答えると、白風家に中国娘を連れて来た雷華が困った顔をする。

「ごめんね。それにしてもどうしたの? あんな黒服数人くらい、秒単位で全滅させられるだろうに?」

 小較が悩んだ顔をして言う。

「またトラブルになりそうだから、希代子さんの点数を稼ぐんだって、お鍋の材料を買いに行ったみたいですよ」

 中国娘が言う。

「この子は、何者ですか?」

 疑惑の視線に対して小較が頭を下げて言う。

「あたしの名前は、白風小較。ヤヤお姉ちゃんの妹です。誤解される前に言いますけど、養女です」

 小さく溜息を吐き、中国娘が言う。

「少しでも、はやくあのヤヤに会いたいのですが?」

 雷華が頭を掻きながら言う。

「あのなー、ヤヤにだって用事があるんだ、無理を言うなよ」

「時間が無いんです!」

 中国娘がそう叫んだ時、急に周囲が暗くなる。

『姉さんの思い通りには、させないわ』(広東語)

 その声に雷華が振り返ると、そこには、巨大な亀が居た。

「あれなんだ?」

 その瞬間、蛇の様な尻尾が中国娘を襲う。

「危ない!」

 小較が咄嗟に飛びつき、攻撃をかわす。

 雷華が、鞄の中から、折りたたみ式の警棒を抜き出して、蛇尾を弾きながら言う。

「あいつが追手だね」

『邪魔をするな』(広東語)

 亀に乗った中国娘とそっくりな少女が睨む。

『邪魔をしているのは、貴女よ、そんな擬似四聖獣では、何の解決にもならない』(広東語)

 中国娘が反論すると、亀に乗った中国娘が首を横に振る。

『それでも、あたし達だけで解決する。それが宿命よ』(広東語)

『事情は、よく解らないけど、ここで騒ぎ起こした以上、覚悟は、出来てるでしょうね?』(広東語)

 道の向こうから較が現れる。

「いつも思うけど、ヤヤっていろんな国の言葉使えるね」

 良美の状況を考えてない言葉に、較は前を向いたまま答える。

「日常会話くらいならね。ヨシも英語くらいは、使えるようになった方が良いよ」

 良美が最初からやる気のない顔で答える。

「あたし、そういうのは、ヤヤに任せてるから」

 溜息を吐く較。

 そして亀に乗った中国娘が叫ぶ。

『邪魔をしないで、これは、私達の問題なの』(広東語)

 頭を掻きながら較が言う。

『だったら、ここまで騒動を広げないでよ』(広東語)

 睨み合う、二人。

 そして亀に乗った中国娘が言い捨てる。

『姉さんにも、見せてあげる、この玄武の力を!』(広東語)

 亀、玄武の蛇尾が、較に襲い掛かる。

『オーディーン』

 較は、あっさり、その尻尾を切り落としていき、間合いを詰めて、足を切り落とす。

『甘い!』(広東語)

 玄武を操る中国娘の言葉に反応するように、玄武の足が再構成する。

『玄武は、大地のエネルギーを元に、無限再生を行う。その再生能力に限界は、無いわ』(広東語)

「それじゃあ、ちょっと試して見ますか」

 思いっきり地面を蹴る較。

『タイタンキック』

 アスファルトが一斉に玄武に襲い掛かる。

 何発かが直撃し、ダメージを負うが即座に再生する玄武。

「これって、前の狼みたいに精神体を壊せば大丈夫って奴?」

 良美の質問に較が首を横に振る。

「それじゃ駄目。あれと違って、設計図があって、それに従って再構成しているだけだからね。でも、設計図さえ壊せれば良い筈。多分、あの中国娘が持ってる筈だよ」

 較が玄武に乗った中国娘を見るが、玄武に乗った中国娘が鼻で笑う。

『玄武の基本式は、ここには、無い。擬似四聖獣は、本家の祭壇から生み出されているのだ』(広東語)

 頭を掻く較。

「なるほど、巫女が経由して発動するだけで、術の基本は、大掛かりな儀式魔法って事だね。それでも中継点を殺せば、再生が止まるね」

 余裕たっぷりの態度に、怯む玄武に乗る中国娘。

 しかし、良美が言う。

「最初から殺すつもり無いくせに」

 眉を顰める較。

「勝負上の駆け引きなんだから、口を出さない」

 良美が一歩後退して言う。

「了解、さっさと終らせて、事情を聞こう」

 較が頷き、大きく飛び上がる。

『オーディーンカタナ』

 較は、手刀で、玄武を真二つしてしまう。

『残念だけど、どんな損傷からでも復活が可能よ』(広東語)

 玄武に乗った中国娘の言葉に較が笑顔で答える。

『どっちが基本になって?』(広東語)

 その一言に、玄武に乗った中国娘が青褪める。

『まさか……』(広東語)

 玄武が二体になっていた。

『何体まで対応出来るか、楽しみだね』(広東語)

 玄武を真二つにしては、増殖させていく較。

 既に数体の玄武が暴走を開始し始めて居た。

 玄武に乗った中国娘が必死に叫ぶ。

『止めて! これ以上、増やしたら制御が出来なくなるわ!』(広東語)

『だから? あちきは、自分の家族を護れるよ』(広東語)

 余裕たっぷりな態度の較に、玄武に乗った中国娘が印を刻むと玄武が消滅する。

『最低な人間。あたしは、貴女みたいな人間を許さない! あたし達の家に来た時が終わりと思いなさい!』

 捨て台詞を残して帰っていく中国娘。

 良美が較の傍によって言う。

「事前に結界を張ってあったから周りに被害が出ないの黙って、騙したね」

 そっぽをむいて較が言う。

「あそこまで大掛かりな儀式魔法で作られた奴を倒す方法は、そう無いんだよ」

 そして、残った中国娘が来て言う。

「お願いがあります。家の名誉なんて下らない物の為に命を捨てようとしている妹を救ってください」

 その言葉に、較が頭を掻きながら言う。

「名前を聞いて良いですか?」

 中国娘が答える。

「私の名前は、鳳凰(ホウオウ)件(クダン)。妹の名前は、麟(リン)と言います」

 較が思いついた顔をする。

「逃がした黄龍の討伐関係だね?」

 中国娘、件が頷くのであった。

「また面倒な事になるなー」

 こうして、較達は、新たな事件に巻き込まれる事になるのであった。

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