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REMNANT ――境界に残ったもの  作者: 灰谷 くぐり
第一章:制御できなかったもの
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世界観・用語・人物紹介 ――レムナント連邦という国について

■ レムナント連邦


能力を制度として採用した国家。


かつては四方を強国に囲まれ、

正面から衝突すれば数で押し潰される小国だった。


連邦が選んだ生存戦略は、

「人間を強くすること」ではなく、

人間を使い切れる形に整えることだった。


能力は、

祝福でも奇跡でもない。


設計され、管理され、

運用される。


この国において、

能力者は英雄ではなく、

消耗前提の国家資産である。


■ 能力


人間に与えられる超常的な力。


発現条件や代償構造は、

遺伝子レベルで組み込まれている。


能力そのものは、

制度として設計された“規格品”だ。


だが、

能力の出方は人によって異なる。


出力の伸び方。

安定性。

限界に達するまでの速度。


そして、

代償の削れ方。


これらに最も強く影響するのは、

身体能力や訓練よりも、

性格や性質だとされている。


慎重な者は、能力を長く保つ。

衝動的な者は、出力を上げやすい。

責任感の強い者は、限界を越えやすい。

恐怖を抱えた者は、制御を失いやすい。


同じ能力を、

同じ条件で使っても、

結果が同じになることはほとんどない。


連邦はこの差を

「個体誤差」と呼ぶ。


才能とも個性とも呼ばない。

想定範囲内の揺らぎとして扱う。


■ 代償


能力使用の結果として支払われる不可逆の損失。


寿命。

記憶。

身体機能。

神経。


削れたものは戻らない。


どこが削れるかも、

どれだけ削れるかも、

完全には制御できない。


多くの場合、

その人間が「大切にしているもの」から失われる。


だが、それは

公式には認められていない。


暴走個体コラプサー


能力者が限界を超えた末路。


理性・言語能力を失い、

敵味方の区別なく破壊行動を取る。


行動は思考ではなく、

反射・暴走・事象更新として観測される。


ランク制が存在し、

ランクが上がるほど被害規模と制圧難度が増す。


性格や執着は、

歪んだ形で残ることがある。


公式には

「偶発的な能力事故」。


内部では

「想定内の結果」。


■ 討伐と戦後処理


コラプサーが発生した際の標準対応。


市街地から切り離し、

討伐し、

痕跡を消す。


血の跡は消され、

破損は覆われ、

報告書は定型文で埋められる。


「自然発生した暴走事故」。


この文言は、

連邦で最も多く使われている文章の一つである。


■ 連邦評議会/特異戦力統括局


能力者・暴走個体・戦力運用を統括する中枢機関。


人を

「兵士」ではなく

「戦力」

「存在」

として管理する。


現場の結果はデータになり、

判断は必ず上から降りる。


責任は、

記録の外に落ちる。


■ 特異個体


既存理論では説明できない挙動を示す個体への分類。


原因ではない。

異常でもない。


「環境要因」として扱われる。


前線に配置され、

測定され、

ログを取られる。


結論は、まだ出ていない。


■ 第七特別部隊


高ランク能力者のみで編成された部隊。


失敗が許されない現場に投入される。

消耗を前提としている。


倒れたら撤退。

倒れなければ、続行。


この部隊における

最も重要な安全装置は、

壊れる人間がいることだ。


登場人物

■ 久遠 悠真くおん・ゆうま


他者の能力使用に伴う代償を肩代わりする能力を持つ少年。


直接的な戦闘力はない。

壊れない限り、前線に立たされる。


国家からの扱いは、

「装置」「支え役」。


性格は穏やかで、

自分より他者を優先する。


その性質が、

能力と最も噛み合ってしまった。


■ 久遠 日和くおん・ひより


悠真の妹。


病弱で、能力に対する拒否反応を示す体質。

能力の有無・性質は未確定。


「能力者の身内」という理由で、

制度上の管理対象となっている。


■ 葛城


第七特別部隊隊長。


能力:肉体強化(痛覚遮断・限界超過)

代償:神経摩耗(不可逆)


責任感が強く、

撤退判断が遅れる。


その性質が、

最も削れやすい。


■ 霧島


第七特別部隊所属。


能力:空間圧縮・防御

代償:肺機能不可逆低下


冷静で、感情を表に出さない。

限界に気づくのが遅い。


■ 鷹宮(故人)


第七特別部隊所属の高ランク能力者。


能力:寿命直削りの過剰出力型。


自信過剰で、

力を疑わなかった。


公式記録では、

「戦闘中戦死」。

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