91 超絶刀技、そして子宮への激しい愛撫
剣奈はスッと立ち上がり前に進んだ。身体から余分な力は抜け、すらりとした佇まいだった。なにげに歩を進める剣奈である。
「ん♡」
ヒュン。剣奈が突然振り向いた。右手には刃が握られていた。いつのまに抜刀したのか千剣破も千鶴もわからなかった。歩いていた剣奈が振り向いた。ただそれだけに見えたのである。しかしナニカが違った。ピリピリとした緊迫感があった。
千剣破と千鶴は知覚していなかったが確かに見ていたのである。水平にきらめく刃閃のきらめきを。そしてその視覚情報は一瞬おくれて二人の脳にとどいた。剣奈がナニカ技をだしたのである。
剣奈は何をやったのか。剣奈は歩いていた。剣奈の脳裏には前方と後方から同時に接近する敵を仮想していた。剣奈は右足を進めた刹那、逆手持ちで抜刀して目の前の仮想敵を存分に水平に薙いだのである。
しかもそれだけではない。抜刀から薙ぎ、その体軸の回転と腕の振りを活かして、そのままの勢いで右足先を軸に回転したのである。刃閃は力強く後ろの仮想敵も存分に水平に斬り裂いていたのである。
前方から後方に見事にきらめいた円の刃閃。前後の敵をほぼ同時に滅した抜刀回転斬りであった。
「ん♡」
ヒュン
剣奈の体が沈んだ。次の瞬間、真下から真上に向かって刃閃がきらめいた。逆風の太刀である。剣奈の脳裏には後方から低く突進してきた仮想敵が知覚されていた。剣奈が振り返ったことによりその敵は今や正面にいた。背後からの敵は顎下から頭上に、頭蓋を存分に縦に切り裂かれた。
剣奈はその勢いのまま空中に跳び上がった。そして空中で身体をしなやかに捩じった。仮想敵は高低の二段構えであった。背後から足元低く剣奈の下半身をかみ砕こうとした仮想敵が一匹。背後足元の敵に気を取られている隙に正面から剣奈の喉元を食らおうとした敵が一匹。
剣奈は背後地面すれすれからの仮想敵を逆風の太刀で存分に斬り上げ、その勢いのまま背面に跳んだ。バック転をするような背面への跳躍であった。
剣奈は空中で体をねじった。今や跳躍した敵は剣奈の正面にいた。剣奈の刃閃は上空から敵の頭蓋を上から下へ切り裂いた。真っ向唐竹割り。正面から空中高く跳躍してきた仮想敵が滅した。
「ん♡」
ヒュン
剣奈は着地するとともに左下からの袈裟斬り上げを放った。さらにそのまま逆一文字に刃閃はきらめいた。
「ん♡スプラーシュッ」
ヒュン
ヒュッ
逆一文字から剣奈は左腰で鍔に左手を添え、順手に持ち替えていた。そして左腰から刀身が横に薙がれた。左からの一文字斬りであった。しかしその刃は正面で止められた。その瞬間、来国光の刀身から白黄にきらめく針が飛んだ。
ヒュッ
「ん♡んんー♡」
剣奈は右足で踏み切り前に跳んだ。剣奈の脳裏には前方に強大な鬼がいた。白黄針で牽制を行い、敵の注意をそらした。
跳躍した剣奈は来国光を振りかぶった。そして振りかぶられた刀身が白黄輝に包まれた。剣奈は左肩を前に出し、左膝を曲げた。右足はスラリと伸びた。美しい跳躍だった。
着地したのは左足。剣奈は左足を支点に体を入れ替えつつ、右足、右肘、右肩、そして手首から刀身が連動して動いた。
「んぁぁぁぁ♡ライッ!」
ブォン!
剣奈が袈裟斬りに目の前の鬼を斬り裂いた。白黄に輝く刀身は長かった。鬼は伸びた刀身で左肩から右腰を存分に斬り裂かれた。短刀では斬り裂けない強大な鬼。しかし白黄に伸びた刀身は存分に鬼を斬り裂いたのである。
剣奈は納刀した。そして千剣破と千鶴の方に振り返った。剣奈は汗ばんでいた。頬は上気して桃色に染まっていた。凛々しくも色気のある振り返り美少女だった。
ふにゃん
しかし、しかしである!一瞬にして顔が崩れた!
ドヤ顔だった。しっぽが振られていた。ニヤニヤ顔だった。剣奈は小走りに走ってきて椅子に座りキラキラする目で二人を眺めた。褒めてオーラ全開であった。最初に口を開いたのは千鶴だった。
「素晴らしいわ剣奈。むっちゃ素晴らしいわ。俊敏な動きに豪快な太刀筋。それに何や輝く針飛ばしてたし。最後の「ライッ?」、あれ凄かったわ。お婆ちゃん惚れ惚れしたわ」
「えへへへへ。そう?針を飛ばしたのはケントスペシャルスプラッシュっていうの。刃からビームがケントライトニングアタック。鬼はすっごく強くて大きくてね。ボクの必殺技ケントスペシャルスプラッシュをトゲトゲの棍棒でバンバン叩き潰しちゃったんだ。でもね、あれは連撃できるんだ。それでね、針を2本縦に並べて飛ばして、一本は叩き潰されたんだけど、もう一本が見事鬼の目にビシュッて突き刺さったんだ。その瞬間ボクは跳んて超必殺技のケントライトニングアタックをはなって鬼を真っ二つにしたんだよ。鬼は見上げるくらい背が高かったけど、伸びた刃が鬼の頭上からバシュッて斬り裂いたんだよ」
千鶴と剣奈は驚愕した。剣奈は確かに鬼との死闘をくぐり抜けたのだ。剣奈は確かに鬼に勝ったのだ。千剣破と千鶴は剣奈の凄まじい技と強さに戦慄した。しかし……である。千鶴は気になったことがあった。
「ところで剣奈や。ときどきなんや色っぽい声あげてたけど、アレ何?」
「剣奈は頬を赤らめた。えっとね。身体を強化するときにクニちゃからエネルギーパワーを吸わせてもらうんだ。けどね。その時、お腹のあたりが変な感じになって声でちゃうんだよー」
「そ、そうなの?どういうことかしら!来くん?」
『剣気じゃ。ワシからの結紐は剣奈の丹田、つまり子袋に繋がっておる。ワシからの剣気はいったん剣奈の子袋にたまるのじゃよ。剣奈の子袋にたまった剣気がうずまいて脈動しての、その……なんじゃ……。女性は……気持ちよくなるらしいのじゃ……』
千鶴と千剣破は怒りに震えた。子宮にナニカを一杯にして、荒々しく子宮の中で渦巻いて脈動するだと?子宮を中から激しく揉みほぐすだと?
ハードプレイではないか!うちの娘になんてことしてくれてやがるんだ。剣奈が変な性癖に目覚めたらどうしてくれるんだ。
いや、本人は気づいていないだけでもう目覚めてる。絶対に良い状況じゃない……。
将来男性と愛を育む営みの時……、剣奈は快感を感じられない身体にされているのではないか……。
いやそれよりも、剣奈がそれを女の快感だと自覚して、それでもなお闘い続けられるのか……。千剣破は口を開いた。
「来くん?女性にとってそれはあんまりじゃないかしら。もっと他のところに繋ぎなおせないの?腕とか足とか後ろ腰とか胸とか頭とか」
『いや。子袋に繋ぎたいわけではないのじゃ。丹田に繋ぎたいのじゃ。じゃが女性の丹田がたまたま子袋であっての……。そのなんじゃ……。すまぬ!』
すまぬと言われても怒りが収まらない千剣破である。子宮への絶え間ない激しい愛撫。拷問ではないか!
ローターを膣に入れて歩かせるという変態プレイがある。剣奈への仕打ちはそれをさらに酷くしたものである。さらに苦情を言い募ろうとしたその時であった。
『む?防御機構が働きおった。来るぞ。祖母どのと母御どのをはやく現世へ。いやその時間はない!』
来国光が何かを感知した。闘いが始まろうとしていた。