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5 砂防ダム
「あれ?なんだろう?」
ケントは川にそびえ立つ大きな灰色の壁を見つけた。灰色の壁には穴がいくつかあいており、そこから勢いよく水が噴き出していた。
「うお!かっこいい!」
砂防ダム。上流から流入する土砂を貯留し、また堆積した土砂の流出を防止するためのダム。
その砂防ダムの頂上は端から中央にかけて水平に近いなだらかな傾斜となっており、中央が凹字状にへこんでいた。下流側はダムに開けられた穴から水が流れ出しており、上流側はかなり土砂に埋められていた。
ケントはワクワクしながらダムの頂上を中央の凹みの縁まで歩いていった。そして川を見下ろした。
「あれ?なんか光ってる?」
砂に埋まった上流側の川原。陽を浴びてキラリと光るナニカが突き刺さってた。
「なんだろう。行ってみようか?」
ケントは中央の凹みを滑り降り、そこから貯まった土砂を見下ろした。
こらえきれないワクワク感を胸に抱きながら。