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17 快感


剣奈は目を閉じ、肚に意識を集中させた。肚から来国光に、何かが伸びている気がした。そして。


「おなかに集中するとさ、なんか、、おしっこが漏れちゃいそうな感じになるんだけど、、」


『そうじゃな、それを漏らさんようにするのじゃ。肚をギュって締める感じでの。そして肚に我が剣気をとりこむのじゃ』


「んー。おしっこを我慢するようにして、お腹に力を入れてぇ」


「ん♡、んんんんん?なにこれ。なんかお腹にくる。あっ♡なんか、力抜けそう。ち、ちょっと、まって。あ、すっごく、おかしくなっちゃうかも」


剣奈の腹、そして胸に快感が広った。剣奈はわけのわからない感覚にしゃがみこんだ。


「おしっこ漏れちゃいそう」


『剣奈よ、それでよい』


「え?」


『それで良いのじゃ。しかし気をつけんとな。ワシの剣気が巫女の身体に取り込まれると、いったん肚にたまる。丹田じゃな』


「たんでん?」


『うむ。臍の下の気の溜まり場じゃ。そしての、剣気が丹田に取り込まれると、どうやら快感が生まれるらしいのじゃ』


「ん?んー?」


『おぼろげな記憶しかないのじゃが、前の巫女はそれで、地面に倒れておったような気がする』


「こ、これ、ダメやつじゃ、、」


『うむ。気をつけねば、敵に、、、うっ、刀身が爆ぜそうじゃ。思い出せぬ。苦しい、、』


「え!だ、大丈夫?」


『すまぬ。大事無い。ともかくじゃ、気持ちよくなるなとは言わぬ。それは避けられぬ。それは悪いことばかりではない。快楽は気分を上昇させ、身と心を奮い立たせる。奮い立った心は、恐怖に打ち勝つ力となるのじゃ。ただ、溺れるな』


「えー。こんな気持ち悪い力、身体に入れるの?ひどくない?」


『すまぬ、、』


「仕方ないか、もう一度やるよ?ん♡」


剣気を吸い込んだ副作用としての快感はなぜ生じるのか?それは人体構造として避けられぬメカニズムがある。


吸い込まれた剣気は丹田にたまる。円環(ちゃくら)である。チャクラは、輪、車輪、循環、回転に例えられる。何故か。円環(ちゃくら)は、丹田を中心として躍動するのである。


女性の身体的構造として、丹田は子宮にあたる。すなわち、子宮を中心として膨大なエネルギーが、暴れまわるのだ。子宮、卵巣、膣、陰核。女性が快感を感じる器官が刺激され、揺さぶられるのだ。たまったものではない。


来国光は抑え込め、我慢しろという。はっきり言う。無理である。無茶ぶりである。来国光、鬼である。鬼畜である!人でなしである!


いや、確かに、もともと、人ではないか。しかたない。わからぬものは、わからぬのだ。刀に人の(さが)はわからぬ。わかれというのが無理だろう。


ともかく剣人、いや、剣奈。女性としての快感を知らぬ剣奈である。はじめての訳の分からない気持ち。ナニカが身体で暴れている。なぜか胸先まで変な気持ちが広がっていた。


しかし剣人は耐えた。眉を寄せ、肚に力を込め、耐えた。そして、暴れまわるナニカを抑え込み、足に流した。足が膨らんだ気がした。足に力が満ち溢れた気がした。どこまでも跳べる気がした。


その感覚のまま、剣人、いや剣奈は、跳んだ。力を開放し、地面を強烈に押し込み、その反動で、剣奈の身体は、空高く跳んだ。


「ええ?? ええ?? ええええぇぇぇぇーーーーっ!?」


剣奈の体は軽々と砂防ダム凹部の上辺、水通し袖小口上端よりも高く飛び上がり、平らな袖天端に着地した。


砂防ダムは凹型と書いたが、正確には完全な凹型ではない。道から続くダムの最上部(袖天端)は水平になっているが、天端から凹上端の水通し袖小口の上端まで、なだらかな下り傾斜になっている。そして水通し袖小口で、急な傾斜となり、水平の水通し天端に辺がつながる。


地面から水通し天端まで160cm。水通しから水通し袖小口上部まで230cm。地面から水平な袖天端までは510cmもあった。剣奈が袖天端を超えた高さ、さらに150cm。剣奈は660cmもの高さを、ジャンプしたことになる。


人の技ではない。


ノミを使ったジャンプ実験によると、4mmの体長のノミは垂直方向に20cm跳ぶそうである。すなわち身長の50倍の跳躍。剣奈の身長は125cm。今回の跳躍は身長の5倍。そう考えると、生物学的には剣奈はさらに、成長力を秘めるといえるかもしれない。剣奈の筋肉、腱、骨、関節が耐えられるかどうかは、また別の話であるが。


「え? ボク、すごくね?」


下腹部からの快感とはまた別の、いや、それを忘れさせてあまりある、高揚感、万能感に、剣奈は酔いしれた。


そして来国光の提案を受けた時に漠然と思った、「魔法妖精に選ばれた魔法戦士、ヒーローになるのかも」、そんなおとぎ話が現実になった気がした。


「やっぱボク、ヒーローに、なっちゃたかも、、」


呆然とつぶやく剣奈。そして徐々に自分の言葉に現実味を感じ始めた。


「うん!そうだよ!ボク、ヒーローだよね?剣に選ばれて、剣に見込まれて、ヒーローになったんだ!」



少々破廉恥、失礼致しました。

頑張れ剣人君!


さて、ようやくタイトルを三分の二、回収しました。

タイトル全回収まであと少し。

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