16 剣気
『さて剣奈よ。早速じゃが、ワシの拵を、取りに行ってはくれぬか?』
「こしらえ?なにか大切なもの?べつにいいけど。ボク、ここ登れないんだけど」
『かっかっかっ。ワシと魂のつながった貴様、いや女性に貴様はないか』
「何でもいいけどね」
『いや、うむ。まあ、そうじゃの。つまりじゃ、ワシからおぬしへ、剣気を渡すことができるのじゃ。ワシの剣気を用いて、増幅されたおぬしの瞬発的な力は、成人男性を遥かに超える。さらに巫女舞いにより神気を取り込んだれば、もはや鬼神の如くじゃ』
「けんき?身体から、バーって放って、周りの敵を倒しちゃうやつ?必殺技?」
『うむむむ。ま、まあそんな使い方もできるが、出来れば無駄に放たないでもらえるとありがたい。あれはワシの存在を保つ力。使うとその分減る』
「減ったら戻らないの?」
『いや。周りに清冽な気あらば、それを取り込み、じわじわ増える』
「ふーん、なるほどね。MPみたいなやつか」
『エムピーとな?』
「うん。正式にはマジックポイント。主人公が魔法を使うと減っちゃうんだ。でも、時間が立つとじわじわ回復する。宿屋に泊まっちゃえば、「チャララララッチャチャーン」って、回復は一瞬なんだけどね。あと、空っぽになると死んじゃうパターンもあるって感じ?」
『なるほどのう。まさにそんな感じじゃ。ワシの存在を保つのにも、使われていおるでの。剣気がなくなるとワシが消えかねん』
「無くなったら、だめなやつじゃん」
『剣奈がワシの剣気を使うて、その身を強くすることができるがの。使うた分だけ、剣気は消費される。剣気が少のうなると、ワシとおぬしの魂の絆を結ぶ糸、結紐、これも剣気でできておるのじゃがの、結紐が細うなる。じゃから剣奈、おぬしにも剣気が少のうなったことは、感じられるはずじゃ』
「ボクにもわかるんだ?」
『ワシの方で意識すれば、剣奈への剣気の流れを止めることもできるがの。じゃが、止め続けるには意識せんといかん。まあワシが消えかねんような緊急事態に陥った時くらいかの。意識して止めるのは』
「わかった!クニちゃんからのゆいひも?が細くなったと思ったら、使わないようにするね?」
『うむ。なので一気に周りに放出するような使い方は、、』
「わかったってば!無駄遣いはしないよ!お母さんにも無駄遣いしちゃだめだって、言われてるし」
『よき母御殿じゃな』
「でも使うっていっても、使い方わかんないんだよねー。呪文を唱えるとか?」
『ワシからの剣気を引っ張るのじゃ。そして引っ張った剣気をいったん肚に溜め、それを使いたい部位に送る』
「う、ん?」
『剣奈がワシから剣気を吸う。肚に溜める。足を曲げる。肚から剣気を足に送る。そしてじゃ、跳躍する刹那、足に剣気を送り、力を解放するのじゃ。まあ、そんな感じじゃな』
「わかった(わかってない)!とりあえず、やってみるよ」