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13 落ち着く
「ううっ。ぐすっ、ぐすっ」
一時のパニック状態からは脱したケント。
『落ち着いたか?』
「もどせっ ぐすっ。おんななんてヤダっ」
『女なんて?貴様は女が男より下だと、そう思うておるのか?』
「そんなこと無いけど」
『ならなんでそんな事を言う?』
「だってボク、男の子なのに」
『ケントよ、 貴様にとってお母さんは劣っているのか?女は男より劣っているのか?』
「そんなこと思ってない。だいたい女子のほうが大きいし、強いし、賢いし、、」
そう、小学校3年生時点では女子は男子より力が強く、身長も高く、なんなら喧嘩も強い。勉強ができる女子も多い。男子より大人びたことを言ったりもする。ケントは女子が弱いとも、劣っているとも、思ったことはなかった。なにより母が大好きだった。
「でも、おんなおんなって、からかわれるからやだ」
来国光はそこで、ケントが何か心に傷を抱えていることを察した。
『そうか。しかし貴様が巫女であるのは、この世界においてのみ。現世では貴様は男子のままだ』
「どういうこと?」
来国光はケントに事情を説明し始めるのだった。