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117 藤倉と玲奈が足手まといにならないために そうだ!武器を持とう!

「ちゃっち。おもちゃじゃねーか」


 机に置かれた箱はマルイのガスガンであった。そのガスガン、コンパクトキャリー LCP IIを見て玲奈は吐き捨てた。藤倉は苦笑いしながらカラフルな袋を取り出した。「生分解性 バイオ BB弾 」デンプンから抽出される乳酸を原料とするBB弾である。土に埋めると微生物がBB弾を分解する。


「国光さん、剣奈ちゃん、これに剣気を込めることはできるかい?出来る場合、どれくらい持つかな?」

「やってみる。んんん♡」


 剣奈は手にBB弾を握って神気を流した。いきなりの「女」の声に玲奈が反応した。


「ちょっと待て剣奈。その色っぽい声は何だ。おい来、テメエ剣奈に何してやがる?」

『剣気じゃよ。剣奈の神気と合わさって邪気を滅する力を持つ』

「そうかよ。で、なんで剣奈はあんな声あげんだ?」

『剣気を取り込む時、丹田に溜まる。丹田は女性(にょしょう)の子袋じゃからの、どうしてもああなるのは避けられぬのじゃよ』

「チッ。悪趣味すぎんだろ。このゲス野郎」


「玲奈姉、ありがとう。ボク、平気だよ。ちょっと変な気持ちなるけど、慣れちゃってるから。それに神様ときどきいたずらでボクのお腹ん中触るんだ。きっとボクの丹田、みんなのお気に入りなんだよ」

「チッ、ガキが。何されてるか分かってやがらねえ。哀れだぜ」

「玲奈さん。言葉に気ぃつけや。やらんとあかんことや。神聖なことや。変な感情植え付けんといてんか」


 千鶴は静かに、しかしピシャリと断固たる響きで玲奈をたしなめた。千鶴とて不愉快に思っているのだ。悪趣味に思っているのだ。

 しかし避けられないことなのだ。ならばそれをしなければならない剣奈に変な負い目を負ってほしくなかった。玲奈の俗にまみれた偏見を植え付けたくなかった。剣奈には神聖なこととして誇りに思ってて欲しかった。


 剣奈はピリピリした雰囲気にちょっとオドオドしながらBB弾をにぎった右手を開いた。玲奈には見えた。弾がうっすらと白黄の光を帯びているのが。


「はっ。光ってやがるぜ。で、これをどう使うって?」

「黒震獣には恐らく通常の武器は効かない。だから我々が刀を持って幽世に行っても恐らく何の役にも立たない。この前の剣奈の闘いを見て思ったんだ。黒震獣への攻撃の本質は剣奈ちゃんの白黄の輝きだと。ならば俺たちもその輝きを持つ武器を持てないかとね。そうすれば俺たちでも敵を滅せないかと思って。倒せなくてもせめて怯ませることくらいはできないかとね。ともかく何か身を守る手段を持たないと、剣奈ちゃんの負担が増えるだけだからね」


 藤倉は反省していた。決して足手まといにならないと決意して甲山の闘いにのぞんだのだ。無理を言って同行したのだ。足手まといになるくらいなら命を投げ出すつもりだった。


 それなのに……。いざその局面になったら何もできなかった。怯えて逃げた。剣奈の足手まといにしかならなかった。あまつさえ大声で泣いてしまった。あんな醜態は二度とさらしたくなかった。


「で、光ってやがるってことは成功したんだな?」

「ああ、そのようだ。あとはどれくらい持つかだな」

「牛城さんの目は助かるよ。とりあえずここに置いておいてどれくらい持つか時間を測ってみよう。その間に俺たちはこいつに慣れないとね。どこか練習できる場所があればいいんだが」


「異世界行く?」

「そんなことで神気をつかっていいのかい?」

「だって必要なことだもん。行くよ?準備してきて。タダっち、玲奈姉」


 藤倉たちは荷物と靴をもってリビングに移動した。リビングには土足になっても大丈夫なようにグランドシートが丸めておいてあった。藤倉たちはシートを広げ、荷物と靴をもってシートに上がった。


 剣奈は移転術式を行った。剣奈たちが風に溶けた。三人は幽世の野原に立っていた。


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