6 黒いナニカ
キラリと光るナニカを見つけて砂防ダムのスロープを駆け下り、凹型の最底辺(水通し天端)まで一気に駆け下りたケント。ケントはそこから堰き止められて貯まった川原の土砂をのぞき込んだ。
水通し天端から土砂まで160cmほど。やんちゃなケントはよく近くの団地の階段脇の花壇の縁から地面に飛び降りていた。その高さがだいたい120 cm。
それより少し高くてちょっと怖かったけれど、好奇心いっぱいのケントは勇気を振り絞って土砂に向かって飛び降りた。
「えいっ!」
落下の勢いを膝でころしなんとか無事に着地することができた。
「えっと どこだっけ
確かあっちの方」
ケントはちょっとジ~ンとする足を引きずってソレの方に歩いていった。
ソレは黒い金属だった。地面から垂直に立ち上がっていた。
「なんだろう。鉄かなぁ」
ケントは片手に持って引っ張ってみた。ソレはかたく地面に埋まっているようだった。
「ん?なんか穴あいてる。
穴の上になんか文字がほってある?
読めないぞ 逆さまかなぁ?」
「え~っと、来?
そして、、 なんだろう
ハのような
口のような?
一番端のは、、
ぐちゃぐちゃして読めないや」
「まあいいか
抜けるかなぁ?」
ケントは両手で黒い金属を両手で持って引っ張ってみた。ソレはかたく地面に突き刺さっていた。
ケントは一生懸命力を入れて引っ張り続けた。ソレが少し熱くなった気がした。そしてスルリと地面から抜けた。最後はあっけないほど手応えなく。
「あれ?ナイフ?」
「これ捨ててあったし拾ってもいいよね?」
ケントは冒険で見つけた宝物を川の水で洗い流し、リュックから出したタオルで綺麗に拭いた。
「わぁ なんだかかっこいいぞ!
ナイフの刃が刀みたく白く光ってる!」
ケントは大切な戦利品を大事にタオルにくるんでリュックにしまった。
そしてどうやって帰ろうかとダムを見上げるのだった。