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1章 3部「彼女たちの日常 3」

「皆さん、今回お集まりいただいたのは、とある人物との会見の提案についてです」


 会議の場所となる集会所には、以前集まった面々のほかに二人若い男も加わっての会議となった。

 若い男二人は文官というよりは武官に近い人物だ。


「詳しい状況報告はカエデからしてもらいます。お願いカエデ」


「はい、シズク様」


 シズクは全体に向き直り状況を説明し始める。


「先日、ムタイ様の元に我が国の将軍ナリヤより内々に接触がありました。用件は反乱への協力要請、にとれる内容だったそうです」


 シズクとカエデ以外の全員が驚いた。


「この件は内密に会見を持つそうです。この際に場合によってはシズク様と引き合わせたいのだが如何かという提案です」


 もし後ろ盾として、ナリヤ将軍がついてくれるのは、相当心強い。


 ただ、各々が予想していることはまず罠ではないかということだった。


「なお、ナリヤ将軍にはこちらの情報は一切伝えていないので断ったり様子見を行うことも可能な状態です」


「このことに関して、意見を聞きたいわ、まずはユイト。ナリヤ将軍がこういった行動をとっていたことは聞いたことがあるかしら?」


 ユイトが呼ばれたのは、意見を出すというよりも情報を持っていないかとの立場から呼び出されていたようだ。


「いや、ナリヤ将軍に関しては何も。俺のいた組織にも接触はなかった。

 ナリヤ将軍は忠義に硬い将軍だ。俺としては裏切るとは思えない」


 姫様もやはりそうかといった顔だった。


「そうね。彼はそういう人よね、私もお世話になったから知ってるわ」


 シズクはそう言いながらしばらく考え込む。


「長老様、何か気になることはないですか?」


 と、長老に意見を求めた。

 長老はふぉっふぉっふぉっと笑いながらもこう答えた。


「武官や文官という者は二種類の種類がありましてな。一つは、親の既得権益を受け継ぎ貪る物。

 もう一つは、己が成したい野望や信念を成す者ですじゃ」


「ナリヤ将軍は後者の人間ですね」


 と、アカリが口をはさんだ。

 どうやらアカリもその人となりを知っているようだ。


「であれば、彼が何を生きる信念や希望としているかを考えてみてくだされ。さすれば答えは出ますとも」


 と、長老は答えここからは自分たちで考えよ。と促した。

 その答えに一同はしばし沈黙し思案した。

 最初に口を開いたのはシズクだった。


「まず、利益や権益を得るための裏切りは彼の性格からないわね。

 そうなると野望や信念という点だけど、何とも言えないところね」


「ええ、将軍と最後にあってからすでに何年もたっていますからね」


 アカリも判断に苦しんでいる様子だった。


 このどうしようかという場面で、場を動かしたのはカエデの提案だった。


「それなら今回はアカリとユイトに様子を見てきてもらうのはどうでしょうか」


 その発言でシズクも答えが出たと言った顔だった。


「それがいいわね」


「俺も行くのか?」


 と疑問形のユイトに対して、カエデが答えた。


「私たちは顔を覚えられているので」


 と言われてしまう。


「あなたにはムタイ様の護衛として、そばに仕えてもらいます。そして使い魔も連れて行ってもらいます。

 アカリは使い魔の目から様子を見てもらいます」


「なるほど、しかし俺は使い魔を使役してないぞ」


「それはこちらで用意します。

 一時的にあなたの命令を聞くようにもしておきますので、あなたはそこにいてくれれば大丈夫です」


 これなら、ユイトを護衛に扮して送り込むことができる。


 ひとまずの納得の答えが出た。


 姫様も決心がついた表情で全員に告げた。


「それで行きましょう。各員準備を。カエデ、今の会議の内容をムタイへ共有して頂戴」


「承知しました」


 こうして、会見の準備が進むこととなり会見が行われることになった。

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