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3章 8部「強行突破」

 ミコトたちは一度街道から横の林へと入り街道からなるべく遠い位置に走った。

 街道で戦闘を起こすと援軍が際限なく集まってきて、一番厄介になると判断してだ。

 また、林の視認性の悪さは逃げる際に好都合な面もある。

 林へある程度入った後、方向転換し前方の兵士へ向かって突撃を開始した。


「最前列がまもなく接触します」


 精霊がそう言うと同時に前方で兵士の声が聞こえた。

 兵士たちは「敵襲だ!」などと各々叫び前方から迫りくる骸の兵士に注意を呼び掛ける。

 が、まともな隊形を整えることはできず、骸の兵士達は無秩序に兵士に向かって襲いかかった。

 ミコトたちの前方からは戦闘音が響き渡る。


「一気に突き抜けます。必ず守りますのでただただ走ってください!」


 精霊からの檄に似た指示を受け、二人は乱戦の中を、骸の兵士に護衛されて突破する。

 二人は厳重に護衛されていたのもあったが、骸の兵士が乱戦に持ち込んだことで、兵士たちはこちらに気を向けることはできず易々と突破することができた。

 突破した後も、走り続ける二人。


「なんとか……突破できた……?」


 と、聞くミコト。

 が、それに対しセッカは


「さっき突撃する直前に笛みたいな音がしたわ。兵士たちがここに集まってくるわよ。まだ気は抜かないで!」


 と、油断しないように呼び掛ける。

 その呼びかけにミコトは目を合わせると、呼応するように骸の兵士をさらに呼び出す。

 呼び出された兵士たちはミコトが走ってきた道に向かって進んでいく。

 ミコトとセッカはさらに奥深くへ走り続けた。


***


 走り続けて数時間経ち、ミコトたちは一旦軽い休憩を取っていた。

 なんとか、兵士の壁を超えることはでき、追撃を巻きつつ山の中を駆け回っていた。


「なんとか一山は超えましたか……?」


 ミコトは様子をうかがいながらセッカに聞いた。

 セッカの返答は、そんなミコトに現実を突きつける内容だった。


「いいえ、夜が明ければこの山はおろか付近総出で探しに来るでしょうね」


「そんな……」


 意気消沈するミコトをよそにセッカは精霊へ質問を投げかけた。


「精霊さん。この周辺に集落か人里、最悪兵士の駐屯所でもいいわ。人がいそうな場所の気配はないかしら」


「どうしてですか?」


 精霊も思わず聞き返す。


「私たちの足ではこの窮地を抜けられない。だから馬が欲しいわ。馬がいる場所ならどこでもいいわ」


 その言葉を受け一瞬、無言になった精霊。

 が、すぐに周りから黒い霧が現れると無数の骸の兵士たちが現れ全方位へ散っていった。


「現在の警戒網とは別に捜索隊を各所へ散らせます。馬が見つかり次第、報告します」


 その言葉に微笑を浮かべながら「お願いね」と返した。

 そして、ミコトへ目線を移す。


「正直ミコトがいなければ、私は二日前にすべてが終わっていた。あなたがいてくれて本当に良かったわ」


 と、感謝の言葉をかけた。


「セッカ様……」


「最も、あなたにとっては迷惑千万な話なのは分かってるのだけれどね。それでもお願い。力を貸して」


 と、頭を下げるセッカ。

 この光景は、一度見たことがあった。

 それは、最初の村でユイトに励まされた後の出来事であった。

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