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3章 5部「町を目指して」

 ひとまず、町か市場を目指す。

 そのためには、街道を探す必要があったが現在位置がわからない以上無駄には動けなかった。

 かと言って、その場にとどまり続けると追手に捕まる恐れもある。

 そこで、なるべく遠くへ逃げつつ、前方へ扇状にミコトが呼び出した精霊の斥候を走らせた。

 前方の安全確認をしつつ、街道を見つける最善の手段であった。

 やがて日は傾き、夜になろうとしている頃


「ミコト様」


 と精霊が話しかけてきた。


「どうしたの?」


「斥候からの情報によると、ここより前方左側に集落があるようです」


 その言葉にセッカとミコトは動きを止めた。


「集落……」


「昼頃、セッカ様がおっしゃられたように集落の人間と接触するのはリスクがあるのは承知です。

 ですが、お二方とも、昨日より食事はおろか水すらまともに口にしておられません」


 その言葉でセッカとミコトは顔を見合わせる。


「それに、いくら追われているとはいえ、さすがに休息を取られませんと身が持ちません。

 一度、その集落に向かわれることを提案します」


「けれど、集落に行ったとしても、助けてもらえるとは限らないわ」


「はい、ですので、まずは夜に私たちが忍び込みます」


 その言葉に、セッカはハッとした。


「確かに、あなたたちが行ってくれるなら、私たちは集落の人間と接触せずに済むわね」


「はい。まずは内部の調査を。休息が取れる場所かどうかを確認します。

 無理であれば、水の確保。また何か食べられるものや、衣類を調達してまいります」


 セッカはその言葉に希望を持った。


「わかった。お願いするわ」


 若干、希望のこもった声でそう告げた。


「お任せを。状況がどう転ぶかわかりませんが、集落へ一度近づきましょう」


「ええ」


 状況はどう転ぶかわからない。ただ前へ進むしかないと集落へ向かった。


***


 日が暮れ、あたりは暗く月明かりが辺りを照らした。

 セッカとミコトは集落近くの雑木林に身を隠し、精霊の報告を待っていた。

 集落の周りは水田に囲まれている。

 そして、水田が使われているということは、空き家ではなく人がいる集落。

 近づけば怪しまれるので集落へは接近できなかった。


 ただ、そばには水田に水を引き込む用水路があったので、喉の渇きを癒すことはできた。

 ほどなくして、ミコトたちの前に煙の塊が現れたかと思うと精霊が姿を現した。

 夜中に骸の姿をした者が現れるのは心臓に悪いとミコトは思いつつも黙っていた。


「ミコト様。集落の調査結果ですが、何かを拝借できる雰囲気ではない状態です」


「どういうこと?」


 ミコトとセッカは不思議な顔をしながら話を聞く。


「気配を殺して集落を調べていたのですが、私たちの存在を気取られてしまったようなのです」


「気取られるって、あなたたちの見た目であれば威圧できない?」


 セッカがそう問うと精霊は意外な答えを返してきた。


「それが威圧どころか、襲ってきたのです」


「え、嘘!?」


 想定していなかった行動にセッカは心底驚いていた。


「初めから、集落の中では警戒態勢が敷かれており住民は武装して周辺を監視していました。

 それを確認しつつ村の様子を調査している際、感づいた住民が声を出して仲間を呼び襲ってきたのです」


 セッカは腕を組み少し考え込んだ後


「そう、周囲を監視しつつ武装して待機していたというわけね」


 と、精霊に確認し


「そうなりますね」


 と返事が来た。


「だとしたら、この集落で援助を受けるのは無理ね。

 それよりここを離れましょう」


 と、移動の指示を出した。


「援助はともかく今移動するんですか?」


「歩きながら状況を話すわ。今はすぐにここから離れるべきね。集落を迂回して先に進みましょう」


 と、すぐに歩き始めた。


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