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3章 4部「反則の一手」

夜明けまで走ったミコト達だったが、目的地はなく、ただただ遠くへ走った。

 今は昼過ぎで、木々の間に隠れて今後の動き方を考えつつ休憩していた。

 セッカは近くの倒木に腰掛け難しい顔をしながら考え込んでいた。


「さて、ここからどうしたものかしら」


 完全な独り言だったが、地べたに座っていたミコトはそれに反応する。


「何か、考えはないのですか?」

「そうね……、正直に言うと私たちは詰んでいた状態から、反則の一手で戦局をめちゃくちゃにした状態なの。

 この状況を利用しない手はないわけだけど、打てる手がないのも事実なの……」


 と、再び黙り込むセッカ。


「まずはお二人が安全に過ごせるような場所の確保が先決なのでは」


 と、目の前の精霊が提案してくる。

 脱出時は十数体いた骸骨の兵士も、今は五体ほどしかいない。

 数がいると目立つので一旦消えてもらっている状態だ。


「安全な場所、と言っても私たちが用意していた退避所は使えないわ。

 こちらの待避所はカエデの報告ですべて敵に筒抜けだったとみていいでしょう。」


「カエデさん……」


 ふと出てきた名前に思わず顔が頭をよぎるミコト。

 彼女がこれまで気にかけてくれたり優しくしてくれていたのはすべて嘘だったのか。

 そう考えると、心に穴が開いたような感覚になる。


「ミコト、カエデのことは忘れなさい。今は生き延びることを考えなさい。

 そうすれば、また顔を合わせる機会もあるかもしれないわ」


「そう……ですね」


 と、頬を両手で叩き、思考を切り替えようとする。

 今は前を向いて進むしかない。


「けど、安全な場所を用意するにしても、行動範囲は限られるわ。

 この近くに集落があればいいのだけれど……」


 と、ここで言いよどむセッカ。


「集落に行けたとして、どう説明するかという問題もあるのよね。

 この格好と、いきさつについて……」


 と、目線をミコトの服装に向ける。

 あの夜、セッカとミコトは凌辱されかけた。

 その際、無理やり衣服をはぎ取られたため二人とも半裸に近い状態だった。


「それにもし、集落に昨日の出来事が早馬で伝達されていた場合、逆に捕らえられて突き出される可能性もあるわ。

 だからおいそれと人に接触できないのよね……」


 と、眉間にしわを寄せる。

 そして、しばらく黙り込んだのち、


「ひとまずは、街道を探しましょう。街道を見つけたら夜間に道を伝って町か市場へ行く。

 そこで、調達できるものを調達して、次の一手を考えましょう」


 そう言いセッカは立ち上がった。


「そうは言っても、物を買うお金ないですよね。

 となると、こっそり持っていくしか……」


 その言葉に対して、セッカは少し黙り込んだ後、


「お金のことは、町に付いてからでいいわ。

 今はなるべく早く、町へ向かうことを目指しましょう」


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