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2章 6部「逃避行の果てに」

「いつから……裏切っていたの?」


 虜囚の身となったシズクはカエデに問いかけた。

 シズクとミコトは手を前にした状態できつく縛られ、座らされている。

 手を前にしているのは、魔法等で縄を切断しようとするのを発見しやすいようにだ。

 さっきの戦闘で、護衛の者はほぼ全員が殺されてしまい、シズクを守り切れず奪取された。

 現在は、別の荷車でどこかへ護送されている最中だった。

 ちなみに、ミコトが殺されなかったのは、カエデによる進言のためだった。


 「いつから……と言われますと、最初から、シズク様にお仕えした時から……になりますね」

 「そう……」


 と、すべてを悟り諦めた表情をするシズク。


 「間者は……カエデさんだったってことですか?」


 「ええ、私の役目はシズク様を監視し、報告を上げることが任務だったわ。

 だから、常にそばで見ていたの。これまで、ずっと。あの時も。」


 この含みのある言い方にシズクは恨みの籠った眼差しでカエデを見る。

 ただ、その眼差しを見ても、ひるまず話を続けた。


「私の役目は、シズク様の王都脱出で終わるはずだったわ」


「はずだった……?」


 思わず聞き返すミコト。


「ええ、シズク様の護衛として位置を発信し続けてシズク様を討ち取る。

 その手はずだったのよ。 けど、私の護衛担当は替玉になっていたのよ」


「替玉……えっ?」


 思わずシズクに目線が行くミコト。

 シズクは、憔悴しきった顔をしていながらもこちらを見ている。


「そう。今、目の前にいるのは、替玉の姫。

 先代王が地方で一夜を共にした女性から生まれた姫、セッカよ」


「じゃあ、シズクってお姫様は……」


「もう死んでいるわ。

 私の情報によって、ね」


 いろいろなことが起き、情報で錯乱しそうになるミコト。

 しかし、そんな彼女にふとユイトの言葉がよぎる。

(---話すものなんてないさ。逆に話していないのは、お前らだろう---)


「ユイトさんは……そのことを知っていたってことですね」


「ええ、知っていたみたいね。けど、どこで知ったかは分からないわ」


 その解答にセッカは覇気がないながらもすごんだ。


「何を……。あなた達、協力していたんでしょう?」


 その質問にカエデは返答せず代わりにこの先の行く末を話した。


「どのみち、もう終わりです。セッカ。

 あなたは、このまま連れていかれるしかない。


 そして私の役目も、これで終わりです」


 その言葉にセッカは、唇をかみしめて泣くのを耐えることしかできなかった。

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