2章 5部「検問」
全員に緊張が走る。
もし正体がばれればすべて終わりだ。
「向こうもこちらに気が付いているわね。仕方ないわ、ここは堂々と通りましょう」
こうして、検問へ近づくシズク達。
検問の兵士は、近づいてきた彼女たちに止まるように制止しそれに従った。
先頭にいたアカリとカエデは馬から降り、検問の兵士と会話を始めた。
「こんなところで検問とは、どうされました?」
「最近、不審な者たちがこの辺で怪しいことをしている。と言われておりまして。
念のため、お話を聞かせていただけますかな」
「構いませんが、手短に」
と、アカリとカエデが兵士と話始める。
二人は商いの帰りだと兵士に話を通す。
荷車は複数あり、荷物も積んでいるためぱっと見ではそのように見えるだろう。
「ふむ……、しかし、荷物の量に対してお供の数が多いのではないか?
荷車もカラの物もあるようだが」
「帰りの道中でして。運んでた物が物なだけに強奪されるわけにはいかないのですよ」
と、カエデが言うと、「運んでいた荷は何か」と問われる。
「話してもよいか、お嬢様に確認を取りますがよろしいか?」
と、アカリが答える。が、
「ミネヤ山より取れた上質な魔力石と、焔丹賜国で取れた丹砂です」
と、カエデが答えてしまう。
「カエデ!?」
と、思わず驚くアカリ。
主人の確認を取らずに商談内容をべらべらとしゃべるのは普通に問題だ。
「ほう、それであれば確かにこの護衛の数も納得ではありますな」
兵士は怪しい顔をしながらも、話には納得した様子を見せた。
アカリは不機嫌そうな顔をしつつも兵士へ向き直り
「そういうわけだ。通っても問題はないな」
と、確認をする。
「そうですなぁ……、私のほうも今の話を上官へ話す故、少しお待ちいただこう」
と、後ろに控えている馬に乗った兵士の元へ向かっていった。
「カエデ」
と、思わずすごむアカリ。
対してカエデは、知らんぷりをしている。
そうこうしていると、騎乗した兵士とそのお供数人がこちらにやってきた。
騎乗した兵士は槍を後ろ手に構え非常に威圧的な面持ちでアカリにすこし距離を置き相対する。
すると、騎乗した兵士が唐突に槍を天高く掲げこう言い放った。
「かかれ者ども!」
すると、山道の脇から兵士がぞろぞろと出てきて気が付けば包囲される。
「これは……、カエデ、私が道をこじ開けるから援護」
しろ、という言葉が出るはずだった。
その言葉は鈍い音によって消えたか、そもそも声にならなかったかのどちらかだった。
アカリの横腹には、短刀が突き刺さっており、それを刺したカエデは息を荒げながらもこう叫んだ。
「先頭の荷車の者は殺すなぁ!」
その叫び声をきっかけに戦端は開かれた。




