キューブの部屋と交換日記!?
その頃、フィナベルは、周りの探索に入っていた。
「この部屋は、パパにもらったチャンバー•アルチザンに似ている気がする•••」
フィナベルは部屋のあちこちを調べていった。
その部屋は、1辺が5mほどのキューブ状で机が1つと本がぎっしり詰まった本棚が2つあった。
本の内容は、ほとんどが魔法関係と魔道具関係で、他には料理や図鑑のようなものがいくつかあった。
「本は、結構使えそうね、あとで読んでみよ!」
少し楽しそうに見える。
他には、ベッドが1つと、石製の台所があるぐらいだった。部屋の片隅には、申し訳程度の便器がおいてあった。
部屋の中は意外と清潔で、確かに食料と水があればしばらくは暮らしていけそうな気がした。
「しばらくは、リュックの中にある食料と水でいいけど、他の方法で調達できないと飢え死にするのは必至ね•••」
フィナベルの精神はかなり安定してきていた。
「そうだ、日記をつけておこう!」
フィナベルはおもむろに日記を開いた。
「アリオンは大丈夫かな?一人で心配してるかな?」
フィナベルがそう言って続きのページを開くと、
「ああ、アリオン!」
アリオンからのメッセージを見つけて、急に涙が溢れてきた。
不安を払拭するようにあまり考えないようにしていたけど、一気に現実に引き戻されて、気持ちが爆発してしまったのだろう。
「さすが、アリオン、日記で連絡をするなんて、よく考えたわね!」
感心しながらアリオンへのメッセージを書いていった。
••••••••
アリオンへ
私は無事です!
さすがアリオンね!交換日記で連絡をとるなんてよく思い付いたわね!
今は、最深階層のキューブ状の部屋に閉じ込められています。
誰もいませんが、生活できそうな家具も少しあって、しばらくはここで生きていけそうな気はします。
最深階層だけあって、外は地獄のようですので、こちらから上層を目指すことは絶望的のようです。
アリオンはもしダンジョンの外へ出る方法が見つかれば、私のことは気にせず必ず逃げてください。
そして、もし外へ出ることができたら、パパとママに私のことを伝えてもらえると嬉しいです。
ちなみに、ポーチの中にはいろんなアイテムが入っているので、なんでも利用してください。
特に、食事と水分は二人あわせて1ヶ月分くらいはあるので、気にせず摂取してください。
迷宮攻略中に水や食べれそうなものがあったらどんどんポーチへ入れておいてください。
私の魔道具と錬金術と料理でアリオンをサポートしていきます。
よろしくお願いします。
フィナベルより
••••••••
「アリオン•••」
フィナベルはアリオンを思い出すとまた涙が込み上げてきた。
★☆☆☆☆☆☆☆★
アリオンはずっとうずくまり、たまにフィナベルが転送された魔方陣を触ってみてはフィナベルのことを思い出して落ち込んでいた。
「フィナベルに日記でも書こうかな•••」
何の気なしに日記を書き込もうとすると、
アリオンはいきなり目頭が熱くなった。
「フィナベル!やった生きてた!」
アリオンは大声で叫んだ。
アリオンは何度も日記を読んでは抱き締めていた。
「よし!絶対にこの迷宮を攻略してフィナベルのいる最深階層まで助けにいってやる!」
アリオンは急激にやる気がみなぎってきた。
「待っていろ!フィナベル•••」
アリオンの眼に真っ赤な炎が見えるようだった。
「先に返事を書こう!」
••••••••
フィナベルへ
生きていてくれて本当にありがとう。
僕はこの迷宮を完全攻略して、必ず君のもとへ迎えに行くよ!
期待して待っていてくれ!
見つけたアイテムはすべてポーチへ入れて行きます。
リストも添付します。
必要なものがあったら、日記に書いておきますのでお願いします。
アリオンより
••••••••
「そうと決まれば、前進あるのみ!」
アリオンは準備を整えると、早速探索へと出掛けた。
次回 快適な休息と夢に隠された謎!
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頑張って続きを書いちゃいます!