追跡者たちと真実の追及!
「おじいさん、どうしたんですか?」
石壁の反対側から、誰かが顔を出して呼び掛けてきた。
「お、おお、何でもないんじゃ、放っておいてくれ!」
ギムルはごまかすように言い繕った。
「おじいさん、腰を痛めてるじゃ、ないですか!」
ギムルを優しく抱き起こすと、
「ルミナス•レストレーション!」
ギムルの腰に手を当てて呪文を唱えた。
ギムルの腰は一瞬でよくなったようで、楽そうに立ち上がった。
「じいさん!気を付けろよ!ここらは魔物をいるからな!ところで、じいさんは、ここらの者か?ちょっと、聞きたいことがあるんだけど!」
「あ、ああ、いや、うーん•••」
ギムルは狼狽えて口ごもった。
「ハッキリしない、じいさんだな!」
「ハーベル、おじいさんに失礼だぞ!」
レオンがギムルに紳士的に頭を下げた。
「俺の名前は、ハーベルって言うんだ!訳あって娘を探しているんだけど、じいさん、ここらで娘かレオンの息子のアリオンって言う13歳くらいの子供を見なかったか?」
ハーベルがギムルに優しく尋ねた。
「レオンと言います。息子のアリオンが行方不明で連絡もとれないんです!何かご存知ないですか?」
レオンも紳士的に尋ねた。
「あ、いや、うーん、ワシは知らんかな?」
ギムルはハッキリしない態度でしどろもどろな感じだった。
「じいさん、ここって迷宮の入り口みたいなんだけど、どうやって入るか知らないか?」
ハーベルが尋ねると、
「え、入り口?出口じゃないのか?」
ギムルはしまった!という顔をした。
「出口?おかしいな•••ちょっとこっちに来てみてくれよ!」
ハーベルがギムルの手を引いて迷宮の入り口の方へ連れてきた。
そこには車椅子に乗った、美しい顔の老婆が少し寒そうにしながら佇んでいた。
「ああ、オウカ!寒くないか?」
ハーベルが優しく微笑みかけて、ストールを肩からかけ直してあげた。
「こちらは、•••ええっと、じいさん、名前は?」
ハーベルが唐突に尋ねた。
「ああ、ワシはギムルという、近くの村に住んでいるもんじゃ!」
ギムルは少しオウカに見とれていた。
「へえ、近くの村にねえ•••」
ハーベルがそう言うと、
「ギムルさん、本当に子供たちを見ていないんですか?」
レオンが念を押すように強い口調で聞き返した。
「ああ、ワシはアリオンという名前も、フィナベルという名前も全く心当たりがないのお•••」
とぼけた感じで言うと、
「おい!じいさん!誰を知らないって?」
ハーベルの顔つきが一瞬で豹変した。
「おじいさん、フィナベルを知ってるのですか?」
レオンが問い詰めると、
「いや、だから知らないって言ってるじゃろ?」
「いや、俺の娘の名前を何で、そこらの村のじいさんが知ってるんだよ!」
ハーベルの顔は昔の不良時代のいかつい顔に戻っていた。
「ああ•••」
ギムルもやっと気がついたようだった。
「第一この辺りには、村どころか人っ子ひとり住んでないんだよ!」
ハーベルが問い詰めるように言った。
「おじいさん!子供たちのことを知っているなら、早く教えてください!一刻を争うのです!」
レオンは懇願するようにすがりついた。
「いや、そう言われてものお•••」
ギムルはごまかしながら後ずさりをした。
その瞬間、
「お前ら、このばばあがどうなってもええのか?」
ギムルがオウカの首もとにスタッフを当てながら叫んだ。
次回 魔法対決と真実の口!
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