フィナベルと創成迷宮
ここからは、俺が説明を代わろう。
俺の名前はハーベル。王様や精霊王なんかと呼ばれているけど、ただのしがない薬剤師だ。日々、【ルミナラ】で医療関係者として病気や怪我をした患者様と向き合っている。
Luminara:(ルミナラ)
太陽が沈むことのない永遠の昼間に包まれた輝かしい王国。
ソーサリーエレメント:光属性
王様は、ハーベル
霊獣:カーバンクル(ブリッツ)
リバースサーフェス(マルチ)
療薬と毒薬(存在)
(Remedia / Venomyst)
「レメディア•ヴェノミスト」
黎明と終焉(時間)
(Alpha / Omega)
「アルファ•オメガ」
魔法属性は、全属性
元の職業は、薬剤師
俺の娘、フィナベルはとにかく可愛い。これは誰にも譲れない! フィナベルは魔道具作りと錬金術が得意だが、それには魔法の知識と属性ランクが必要なため、嫌々ながら魔法の訓練をしているようだった。
それでも、10歳にして全属性応用魔法5までは修得していた。俺と妻ネルは、一般教養以外は全て本人に任せていたので、フィナベルも自由に研究に専念できているようだった。
フィナベルは俺のことが大好きで、俺の持つチャンバー•アルチザンという神器に並々ならぬ興味を持っているようだ。
チャンバー•アルチザンとは、精霊王でもある俺が使役する【朱雀】が以前くれた神器で、フィナベルにも使用できるようにしたいと前々から考えていた。
チャンバー•アルチザンはキューブ状の部屋を自分の好きなように改造できるもので、各国や各エリア同士の移動用の転移所や、【ルミナラ】での医療施設や建物内部は全てこれを利用していた。
チャンバー•アルチザンの特徴としては、キューブを好きなだけ増やすことが可能で、元のチャンバー•アルチザンの内装や機能はそのままコピーできる。俺の許可した人しか使用できないが、条件をフリーにすることも可能である。
最大の問題は、所有者である俺しか設定できないことと、俺が死亡すると全てのチャンバー•アルチザンが使用できなくなることだ。俺は【朱雀】に何とかフィナベルにも使用できるようにできないか相談してみたが、【朱雀】によると、元々チャンバー•アルチザンのあった迷宮なら何か情報を得られるかもとのことだった。
その迷宮の名前は、
創成迷宮【Nexus of Creation】
と言うらしい。
そこにいるとされるチャンバー•アルチザンの作者なら何とかしてくれるかもしれないと••••。作者の名前は不明で、創成迷宮にいるということ以外は何も分かっていなかった。
この話を聞いたフィナベルは創成迷宮への探求心が止められず、創成迷宮へ行くための準備を密かに始めているようだった。ただし、ギルド規定で年齢が15歳以上でなければダンジョンの探索はできず、ギルドランクもCランク以上が絶対条件だった。
リバースレルムには学校も存在しており、7歳から入学できる初等部(6年間)では、一般教養以外に見習い魔法や応用魔法4までを学ぶことができる。
高等部(3年間)では、応用魔法の続きから上級魔法7までを学び、さらに魔法大学では究極魔法10までを修得できるが、かなりの才能と努力が必要となる。
この時はまだ、フィナベルとアリオンはあまり面識がなく、俺が連れて行った【ノクターニア】で少し顔を合わせた程度だった。フィナベルは初等部の入学試験の時に初めてアリオンとまともに挨拶をした。
アリオンは王子様で、イケメン、魔法も戦闘も教養も抜きん出た天才だ。当然周りからチヤホヤされるが、アリオン自身はそれがとても嫌で逃げ出したいと思っていたようだ。そんな時に、俺の可愛いフィナベルと出会う。フィナベルは昔に出会っていたことはほとんど覚えていなかった。フィナベル自身は魔法も運動も全く興味がなく、魔道具と錬金術に夢中だった。
もちろん、男性にも興味がないのでアリオンに出会っても反応はいまいちだった。しかし、アリオンにとってはそれが新鮮で、フィナベルに興味を持ち始めていた。
フィナベルはいつも他の生徒とは離れて自分の好きなことだけを一生懸命やっているようなタイプだった。家に帰っても魔道具ばかり作っているような娘だった。俺があげた素のチャンバー•アルチザンを持っているが、フィナベルでは使用できないし、どんな仕掛けでこんな機能が発動するのかも、現時点では全く理解できていないようだった。
次回 魔導王と迷宮の影
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頑張って続きを書いちゃいます!