娘を故郷へ•••ハーベル、決死の帰還計画!
「ハーベルさん、アルケウスはどうしたんですか?」
八雲が、心配そうに尋ねた。
ハーベルは冷静な表情で答えた。
「俺のリバースサーフェスのアルファ•オメガで、時の狭間に閉じ込めてある。アイツの虚空魔法でも抜け出せないさ」
その言葉には揺るぎない自信があり、空気を圧倒するような迫力があった。
「そ、そうなんですね••••」
八雲は一瞬言葉に詰まりつつも納得するように頷いた。
「パパ•••」
フィナベルも心配そうにハーベルを見つめていた。
その場にいる全員が、ハーベルの威圧的な存在感を改めて実感していた。
「どこまでも恐ろしい人なんですね•••」と八雲は呟くように言い、フィナベルと視線を交わすと、苦笑いを浮かべた。
「パパ、どうやって帰るの?」
「うーん、いろいろ考えたけど、やっぱり、パパがやった方法しか思い付かなかった•••フィナベル、ごめん!」
ハーベルは大きなため息をつき、険しい表情を浮かべた。
「そっか、私は大丈夫だよ!」
フィナベルは父を安心させるように微笑んだ。
その言葉に救われたように、ハーベルは少し顔を緩ませた。
「その前に、八雲君を家へ送らないと!」
八雲は穏やかな笑みを浮かべながら答えた。
「ああ、ご心配なく!チャンバー•アルチザンですぐに戻れますよ!」
「おお、それは助かるよ!」
「少し、八雲君の家を見てみたいんだけど!」
「どうぞ、歓迎します!」
八雲は快く承諾した。
⭐☆☆☆☆☆☆☆⭐
一行は、八雲の部屋へお邪魔していた。
「コーヒーでもどうぞ!」
八雲がコーヒーを出してくれた。
ハーベルは一口飲みながら深く息をついた。
「八雲君、すまない!」
ハーベルがいきなり土下座した。
フィナベルは父の突然の行動に驚いた。
「パパ•••どうしたの?」
ハーベルは決死の決意を持った目で八雲を見据えた。
「今からお願いする方法だと、必ず誰かがこちらの世界に残ることになる!」
その言葉に八雲は驚きつつも、すぐに静かに答えた。
「なんだ、その事ですか!もちろん、僕が残りますよ!」
「ヤクモ!」
ハーベルは言葉を失い、八雲の揺るぎない決意を感じ取った。八雲は続けた。
「元々、こちらの人間なんだし当たり前でしょ!フィナベルが居なくなるのは辛いけど•••」
その瞬間、八雲の目には涙が浮かんでいた。
フィナベルは彼に寄り添い、そっと手を握った。
「ヤクモ•••」
「すまない!」
ハーベルは悔しそうにまた頭を下げた。
ハーベルの説明では、
•••••••••
まず、フィナベルに【仮死の指輪】を着けて、アリオンにあちらから引き出してもらう。
一緒に送ったフェニックス•ポーションで直ぐ様、蘇生してもらう。
ハーベルのどうしてもという意向で、フィナベルを確実にあちらへ送りたいので、先にお願いしたいとのことだった。
その後【仮死の指輪】をこちらへ送ってもらい、ハーベルさんを送って、フィナベルが蘇生するとのことだった。
そのやり取りをするためには、こちらでポーチから取り出す役と入れる役が必要なため、僕は最後に残ることになる
•••••••••
「分かりました」
八雲は真剣な表情で彼に頷いた。
「最後の役目を任せてください!」
ハーベルは八雲の肩を強く叩き、感謝の気持ちを込めて答えた。
「ありがとう、八雲君。お前には感謝してもしきれない!」
フィナベルは八雲に目を向けた。
「ヤクモ、本当にありがとうね。寂しくなるけど、またどこかで会える気がする」
「僕もだよ。大事な存在を失うのは辛いけれど、君が無事ならそれが一番だ」
八雲の声には感情がこもり、彼の目には涙が浮かんでいた。
そして、二人は確かめ会うようにしっかりと抱き合った。
「さあ、フィナベル!」
ハーベルが促すように【仮死の指輪】をフィナベルに渡した。
次回 二つの世界の架け橋!涙の別れと奇跡の再会!
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頑張って続きを書いちゃいます!