まさかの求婚!?修羅場と感動の救出劇!
100階層の扉が重々しく開かれた瞬間、冷たい緊張感が室内を支配した。
「ハハハ•••お前は何なんだ!」
アルケウスが声を震わせながら問いかけた。だが、その威厳は既に崩れ去り、怯えた表情が見て取れた。
「あああーー!ネザロス様!」
突然、ヴェラドナが天を仰ぎながら恍惚の笑みを浮かべた。
「はあ?」
その奇妙な行動に、アルケウスは困惑を隠せなかった。
「アルケウス、じゃあ、私はこの辺でお暇するわ!」
微笑みながら一礼すると、ヴェラドナは次元の裂け目へ消え去った。
「おい、待てよ•••私を一人にするな•••」
アルケウスの青ざめた顔が強張り、背後のガルガンオークたちに目を向けた。
「アイツを殺せ!」
彼の声が震えながら響いた。
ところが、動こうとしたガルガンオークたちを大きな雄叫びが打ち砕いた。
ハーベルが大きく息を吸って、
ウォーーーーーーーーーーーー!
彼の咆哮は耳を裂くほどの威力があり、オークたちは動けず縮こまってしまった。
「おい、お前ら•••」
アルケウスが震えながら言うが、誰も動けなかった。
「なんだ、お前は自分で戦わないのか!?」
ハーベルが鋭い声で詰め寄るが、アルケウスは何も言い返せなかった。
「分かった、分かった、チャンバー•アルチザンは置いていく、では、私はこれで失礼するよ!」
アルケウスが二つのチャンバー•アルチザンを投げ捨てると、
「ヴォ•••ヴォイド•リフト•••」
次元の裂け目に入ろうとしたその時、
「誰が帰っていいって言った!」
アルケウスの目の前に一瞬で移動してきたハーベルが怒鳴りつけた。
「ひーーーー!」
アルケウスは完全にチビっていた。
「お前は、許さねえ!俺の可愛いフィナベルをいじめた罪は、万死に、いや、兆死に値する!」
ハーベルはアルケウスの頭を鷲掴みにしながら、さらに怒鳴った。
ゴクリ•••
「ああ、ああ、ああ、すい、す、い、ま、せん•••」
アルケウスが震える口でたどたどしく謝罪した。
「あーーーーーー!」
ハーベルが鬼の形相で吠えた。
「ヤクモ、止めて!」
フィナベルは怯えきって震えながら八雲にしがみついていた。
「いや、あれは、さすがに手出ししたら、こっちが死ぬやつでしょ•••ふっーーーー!」
八雲が大きくため息をついた。
ハーベルがアルケウスを手にかけようとしたその瞬間、
「ハーベルさん、娘さんを私にください!」
唐突に、八雲がこれ以上ないという大声で求婚した。
シーーーーン•••
「ハハハ•••嘘だよ!」
ハーベルがアルケウスの額にデコピンすると、
「ヤクモ君、ちょっといいかな!」
ハーベルが八雲を影に連れ込んだ。
「ああ、嘘です、娘さんにアルケウスを殺すところを見せたくなくて•••」
「まあ、気にするな!」
ハーベルが苦笑いしながら、八雲の肩をバンバン叩いていた。
「痛ててて•••」
八雲も同じ様に苦笑するしかなかった。
「ヤクモ、ありがとう!」
フィナベルが目に涙をいっぱいに溜めながら八雲にしがみついた。
アルケウスはその隙に外へ出る扉から逃げようとそーっと扉を開けようとしていた。
「アルケウス君、何してるのかな?」
ハーベルの鬼の顔がくっつきそうなくらい近づいた。
「いや、外へいこうかと•••」
ハーベルがアルケウスの頭をまた鷲掴みにすると、そのまま外へ連れて出てきた。
ハーベルはアルケウスに土下座させると、
「とりあえず、二人に謝罪しろ!」
フィナベルと八雲はアルケウスが投げ捨てたチャンバー•アルチザンを大事そうに拾うと、続けて外に出てきた。
「リーフィア!」
「ああ、助かった!」
リーフィアが姿を現した。
「エンフリード!」
「ヤクモ殿、感謝!」
エンフリードも姿を現した。
四人は泣きながら抱き合って喜びを分かち合っていた。
「ほら、謝れ!」
ハーベルがアルケウスの背中を膝でどついた。
「も•••申し訳ありませんでした•••」
アルケウスは涙をポロポロ流して、地面に頭を擦り付けながら謝罪していた。
「師匠、信じていたのに•••」
「うん•••」
二人はそれ以上、何も言葉が見つからなかった。
次回 娘を故郷へ!ハーベルの決死の帰還計画!
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頑張って続きを書いちゃいます!