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血走った瞳の奥にあるもの•••娘を思う父の狂気!


「ああ、すまない!君がヤクモ君か!」

ハーベルが抱きついて離れないフィナベルを引き離そうと苦笑いを浮かべながら声をかけた。


「イヤだーーー!」

フィナベルは幼い子どものように強くしがみつき、頑なに離れようとしなかった。その顔は涙でぐしゃぐしゃだった。


「はい、吾妻 八雲と申します!」

八雲は軽く頭を下げ、落ち着いた声で自己紹介をした。


「吾妻•••?」

ハーベルの耳にその名前が響いた瞬間、まるで古い記憶を呼び覚まされたように胸がざわついた。その表情には微かな動揺が走ったが、すぐに気を取り直して口を開いた。


「フィナベルを助けてくれてありがとう!」

ハーベルが深々と頭を下げてお礼をした。その真摯な姿に、八雲も静かに応じた。


「いえ、こちらこそ。フィナベルさんには日々お世話になっています」

八雲は少し微笑みながら答えた。その礼儀正しい態度にハーベルも安心したように表情を柔らげた。


「今は、40階層まで言ったのかな?」

ハーベルは興味深そうに尋ねた。


「はい、なんとか」

八雲は控えめに答えるも、その声には自信が滲んでいた。


「ほう、大したものだな!40階層ともなると、そう簡単には進めないだろう」

ハーベルの視線が鋭さを帯び、彼の評価を値踏みするように続けられた。


「ええ、エンフリードに修行をしてもらいましたから!」

八雲は敬意を込めて答えた。


「エンフリードだと?となると、炎のソーサリーエレメントと契約しているのか?」

「はい、その通りです。」


「なるほど、その魔力はそのせいか!」

「はい!」

ハーベルは八雲を見つめながら小さく頷いた。


「申し訳ない。試すような質問ばかりしてしまったな」

ハーベルは不意に頭を下げた。


「いえ、どこの馬の骨とも分からない男が近くにいたら、さぞ心配されるでしょう」

八雲は冗談めかした口調で応じた。その一言にハーベルの顔が緩み、二人の間に小さな笑みが交わされた。


その夜は、フィナベルがハーベルにくっついたままで、昔の薬剤師のあるある話で、二人は盛り上がっていた。


「八雲、楽しいやつだな!」

ハーベルは八雲を見つめ、がっちりとその肩を掴んだ。


「ハーベルさん、フィナベルのような娘さんがいらっしゃるなんて、本当に羨ましいです」

八雲は素直に心からそう言った。


「そうだろう、そうだろう!この子は最高の娘だ!」

ハーベルはドヤ顔をしていた。


⭐☆☆☆☆☆☆☆⭐


翌朝、フィナベルが楽しそうな声で部屋を満たした。


「二人とも、朝ご飯だよ!」

彼女の声には喜びが溢れており、その手には美味しそうな料理が並んでいた。


「パパ、美味しい?」

フィナベルがテーブル越しに尋ねた。


「ああ!フィナベルの手料理が食べられるなんて、俺は幸せ者だ」

ハーベルは心から感謝を込めて答えた。


「これなら、今日は迷宮を一人で攻略できそうだな!」

その真剣な表情に、フィナベルと八雲の笑い声が重なった。


「パパ、それは無理だよ!」

フィナベルが笑顔で突っ込みを入れる。


「ハハハ•••さすがにそれは無茶ですね!」

八雲も同意しながら、肩を震わせて笑った。


「ご馳走さま!」

二人が料理を綺麗に平らげたあと、ハーベルは立ち上がり、突然目を鋭く光らせた。その瞳には狂気にも似た決意が宿っていた。


「さあ、リーフィアとエンフリードを助けるために、アルケウスとかいう野郎を殺りに行くぞ!」


その言葉にフィナベルは動揺を隠せず、八雲もまた緊張が走った。


「パパ!」

フィナベルが父を見上げるその声には、止めたいという願いがこもっていた。


「ハーベルさん、怖•••!」

八雲もまた、血走った瞳を目の当たりにしながら、一瞬息を飲んだ。


しかし、その瞳の奥には何よりも深い愛が宿っていることを、二人とも感じ取っていた。

次回 元ヤン親父、鬼神と化す!

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頑張って続きを書いちゃいます!

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