【仮死の指輪】に託す娘への想い!
「この辺でアリオンに日記を書いておくね!」
フィナベルが柔らかい笑顔でペンを握りしめた。
「うん、絶対喜ぶはずだよ!」
八雲が優しい声で応えながら彼女を見守っていた。
フィナベルは迷宮での出来事を思い返しながら、丁寧に日記を書き始めた。
•••••••••
アリオンへ
創成迷宮へ挑んで、ヤクモと一緒に40階層までいけました。
20階層のランダムボスは、フロストウィングドラゴンが出てきてびっくりしましたが、ヤクモが何とか倒してくれたので、助かりました。
また、アイアン、アストラリウム、ルーンタイトのインゴットもゲットしました。
今回は、自作のチャンバー•アルチザンがあるので、自由に迷宮から外に出ることもできます。
そう言えば、ヤクモがアストラリウムゴーレムを倒すときに、迷宮に穴を空けてしまったので、そこから外に出ました。
アリオンに会いたいな•••
好き好きだーーーい好き!
フィナベルより
•••••••••
フィナベルは日記を丁寧に封じ、どこか切ない表情でそれを見つめた。迷宮の中でアリオンの顔を思い浮かべる瞬間が、彼女の心の支えとなっていたのだった。
⭐☆☆☆☆☆☆☆⭐
「ハーベルさん!見てください!」
アリオンは勢いよく駆け込んできて、日記をハーベルに差し出した。
「なんだ、このヤクモってやつ!」
ハーベルは日記を一瞥して、その内容に目を見開いた。
「化け物ですね•••」
アリオンとハーベルが驚きを隠せないでいた。
「いや、ハーベルも十分化け物だけどな!」
レオンがからかうように言葉を挟んだ。
「確かにって、父上も相当ですよ!」
アリオンが真顔で返すと、ハーベルも苦笑した。
しかし、その場に立ち込める空気は次第に緊張感を増していった。
「それにしても、こいつ何者なんだ?」
「僕も気になるな!」
レオンも鋭い視線を落とし、頭を巡らせていた。
「やっぱり、これしかないか•••」
突然ハーベルが呟きながら肩を落とした。
「ハーベル、どうした?」
レオンが心配そうに問いかけた。
ハーベルは顔を上げると、真剣なまなざしで言葉を紡ぎ出した。
「いいか、今から言うことはこの三人だけの秘密だ!」
「ええ、ハーベルさん•••」
「ハーベル、なにするつもりだ!」
ハーベルの強い言葉に、アリオンとレオンは息を飲み、真剣な表情で耳を傾けた。
「俺は•••死ぬ!」
ハーベルが真顔で言った。
「はあ?なに言ってるんですか!ハーベルさん!」
アリオンが驚いて声を荒らげると、レオンが冷静に制止した。
「それで•••続きを聞こう。」
レオンの言葉に促され、ハーベルは深い呼吸を一つ挟んだ。
「ああ、俺は、この仮死の指輪で一度死ぬ!そして、モノとなってアリオンのポーチを使ってフィナベルのもとへ移動する。そして、あちらで蘇生してもらえば、彼女と再び話ができる!」
「そう言うことか•••」
レオンは、冷静に呟いた。
「そんな方法で本当に大丈夫なんですか!?」
アリオンがハーベルの腕を掴んで必死に訴えた。
「いや、死ぬって、もし5分以内に蘇生できなかったら•••」
アリオンが全力で止めた。
「うーん、ハーベル、それしかないかも知れんが、みんなには話そう!」
「いや、ネルに心配かけたくない!」
ハーベルは視線を落としながら静かに言い切った。
「ほら、自分でも危険性があると思っているんだろ?」
「そうですよ!みんなに!」
アリオンがハーベルの腕にしがみついた。
「そうですよ!」
その会話の背後で、ジェミニが立ち聞きしていたのだった。
次回 タイムリミット5分!?父の愛は死をも超える!
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頑張って続きを書いちゃいます!