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昼過ぎの帰り道、軽い足取りで家へと向かう。
ドアを開けたらすぐにランドセルを投げ、君の待つあの河原へと向かう。
ボールがよく消える茂みの影に建てた秘密基地。
大人たちの棲む日々に少しでも背を向けたくて、僕らしか知らない世界へ飛び込んだ。
あれからかなりの月日が流れた。
大人たちの面倒ごとから少しでも背を向けたくて、今でもあの河原に足を運ぶ。
青春はもう、とうの昔に死んでいる。
でも、ここに来てあの日を思い出す度に、あの夏と変わらない草の匂いがする。
夕暮れのチャイムが街に今日の終わりを告げる。
「また会おう」
いつか、そういって親指を立てたあいつは今、何をしているんだろう