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Robotech Touchdown ─ロボテック タッチダウン―  作者: 芳川 見浪
第十三章
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Epilogue

 一ヶ月半程を使って行われた予選大会もこうして終わりを迎える事となった。まさに一夏の間に行われた一大イベントであり、日本全国にある数百のチームがしのぎを削り、そして振るい落とされていった。

 勝ち抜いたのは各県で行われたブロック予選を勝ち抜いたチームのみ、全部で一〇八チームと煩悩と同じ数であった。

 

 さて、予選大会を終えたインビクタスアムトのメンバーはというと。

 

「なんであたし達が勉強なのよぉぉ!!」

「せやせや横暴や!」

「貴族としての教養を身につけたこの私がこれ以上学ぶ必要があるとでも!?」

「またテストで赤点を取って試合にでられなかったりしたら問題ありますし、それに勉強は学生の本分でしょう」

 

 祭と武尊と漣理の三人からなる赤点四天王は、来る二学期中間テストに備えて今から勉強期間へと突入していた。

 監督は厳しい指導に定評の厚先生である。

 

「さあこれから毎日勉強の時間を作りますからね」

「「「ぎゃああああああああ」」」

 

 これによって三人の成績が飛躍的に上がったのは言うまでもない。

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 大蔵は久しぶりにお店を開いていた。練習が休みの日はこうして趣味で経営している喫茶店を開いているのだが、ここしばらくは予選で忙しくご無沙汰となっていた。午前中のうちに掃除を済ませ、豆を用意してオープン。

 明日も練習が休みなので食材の納品は多めにしておく。

 カランコロンとベルが鳴って一人のお客さんがやってきた。

 

「いらっしゃい、あら友恵ちゃんじゃない」

「どうも、お邪魔します」 

 

 同じチームメンバーの友恵が来店してきた。わざわざ隣町まで来てくれるとはありがたい話である。

 

「作業したいんですけどいいですか?」

「いいわよ、WiFiつかう?」

「あ、使います使います。それとランチセット一つ、コーヒーは食後でオリジナルブレンド」

「はぁい」


 友恵はカウンターの隅に座ってノートPCをとりだした。タイプ音を極力抑えながらセットアップする。

 その間に大蔵は注文のランチセットを用意していく、まずは自慢のタマゴサンドをだす。ボリュームだけならコ○ダに負けない自信がある。

 続いてオニオンスープをだしてランチセットは終わり。

 

「お仕事ご苦労さま、今書いてるのは予選の記事かしら?」

「えぇ、滋賀予選大会の記事とインビクタスアムトの特集記事です」

 

 友恵はスポーツ雑誌の記者と二足の草鞋を履いているため他のメンバーよりも幾分か忙しそうだ。

 

「あらまぁ特集されるの? あたしおめかししてこなくちゃ!」

「ははは、まだまだ先ですよ。特集されるには近畿大会で決勝に行くぐらいしないと」

「残念、でもまあ準備だけはしておくわ」

「ええ、このチームならいけますよ」

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 美浜市の一角、駅から近く、そして大通りから少し外れたところにある長谷川ベーカリーという名のパン屋、そこで心愛は久しぶりにアルバイトをしていた。

 

「いやぁ久しぶりだねぇ」

「ここ最近予選で忙しくて、中々シフト入れなくてごめんなさい店長」

「いやいや、いいんだよ。それに業務を楽にするために……ジャジャン、セルフレジを導入しました」

「おおー、ついに」

 

 レジ横に見慣れない物があると思ったら、心愛はナイス店長と心の中で賞賛の声を送っておいた。

 

「まあ値付けはこちらでやるんだけどね、じゃあ僕は追加のパンを焼いてくるから」

 

 それでも会計の手間が減るのは有り難い、早く試してみたいとウズウズしていたら早速お客さんがやってきた。

 

「いらっしゃいませー、て雲雀さんと須美子ちゃんじゃん」

「き、きちゃった」

「来てくれてありがとう須美子ちゃん」

「ここが心愛ちゃんの働いてる職場ねぇ、塩パンはある? 宇佐美のために買っていくんだけど」

「あ、そこにありますよ。宇佐美だけの分なら八個詰めとくね」

「ええ、よく宇佐美が食べる数がわかるわね、丁度それぐらい買うつもりだったのだけど」

「まあ宇佐美はよく来るんで、おかげで宇佐美の好みは結構把握したよ」

「へぇ、そう」

 

 スッと雲雀の目が細くなった。明らかな牽制、恋敵に向ける感情そのものであった。無論心愛の方もそれを理解してさりげなく煽ったのだ。

 例え宇佐美の姉といえども恋敵は恋敵、負けるわけにはいかない。

 今、街角のパン屋にて壮絶な女の戦いが。

 

「あ、心愛ちゃんお会計お願い」

「はーい」

 

 須美子によって女の戦いは阻まれてしまった。

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 整備棟にて。

 

「予選大会の記録を元にこちらで強化プランを考えてみました」

「どれどれ」

 

 整備士長の聖とコーチの恵美、それとメンバーの瑠衣が聖の考案した強化プランの確認に来ていた。


「僕としては問題ないと思います」

「流石は聖だね、プラン自体は完璧と言ってもいいさね」

「ありがとうございます。という事は問題点は一つだけですね」

 

 聖の考案した強化プランはよく出来ている。現状のパイロットスキルを元に無理のないものとなっていた、しかしその強化プランにも一つ大きな穴があり、聖もそれは理解していた。

 

「「「お金がないのがなあ」」」

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 インビクタスアムトのフィールドでは涼一が感動の出会いを果たしていた。

 

「おお! 我がライバル!!」

「壮健そうでござるな!」

 

 忍者こと太郎が勇者の涼一と運命の再開を果たしたのだ! 二日ぶりに。

 溢れ出る涙! 激闘を終えたライバルの感動の再会はまさに全米が泣くレベル。

 

「いやなんでありやすかこれ」

「私もわかんない」

 

 そしてその感動の出会いを冷めた目で見守る炉々と小春。

 

「そう言えば今日はクイゾウじゃないでありやすね」

「壊れちゃって」

「なーる」

 

 予選大会で少し無理をしてしまったらしくクイゾウは今オーバーホール中である。次の近畿大会までには間に合うだろうが、それまでは慣れない人間態での生活を余儀なくされている。

 

「して、我がライバルよ、今日はどのような理由でここに来た?」

「決まっているでござる、お主らインビクタスアムトに練習試合を申し込むべく果たし状を持ってきたでござる!」

「受けて立とう!!」

「「ちょっと待ったあ!!」」

 

 流石にコーチの了解を得ずにやるのは問題がある。

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 残るメンバーの宇佐美と澄雨の二人は並んで街中を歩いていた。別にこれは示し合わせていたわけではなく、たまたま鉢合わせたのでなんやかんやで一緒に行動しているだけである。

 

「宇佐美先輩はなにしてたんです?」

「ん? 僕はレンタルビデオ屋で映画を借りてきた、そういう澄雨ちゃんは?」

「私はその、もうすぐ女の子の日なので準備を」

「あぁ」

 

 姉がいるからそれがどれだけ大変なのかは多少なりともわかっているつもりだ。

 

「私のことはいいんです、宇佐美先輩は何の映画を借りたんですか? サブスク全盛のこの時代にわざわざレンタルという事はかなりレアな映画とみました」

「お、察しがいいね、その通りサブスク配信されてないレアなやつだよ」

「期待値上がってきました」

「その名も『カマキリシャークvs織田信長』だあ!」

「えぇ……」

「この映画はね、突然変異でカマキリの能力を宿したサメと、現代に蘇った織田信長がナポレオンと一緒に」 

 

 

 流石の澄雨でもあまりのB級感にドン引きしてしまった。

 そんな彼女の態度を知ってか知らずか、宇佐美はこれがどんな映画かを語り、そして澄雨は心を虚無にしてそれを聞いていた。

 

「あ、そう言えばすぐ近くにパン屋さんがあるんだけど、今日は水篠さんがバイトしてるらしいから顔見に行こうよ」

「あ、いいですね! 行きましょう!」

 

 虚無のような映画語りから解放された澄雨が喜んで同意したが、この後壮絶な女の争いに巻き込まれてしまうのは言うまでもない。

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 追記、インビクタスアムトは予選大会を突破して近畿大会に出場が決まりました。

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