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Robotech Touchdown ─ロボテック タッチダウン―  作者: 芳川 見浪
第十三章
135/137

Preliminary Contest ⑲

『ハミルトンが猛烈な速度で駆け抜ける! 誰も追いつけない!』

 

 実況の声を右から左へ流しながら、高秀は舌打ちをする。ハミルトンは既にクォーターラインを越えようとしている、仲間達が妨害をしているが一秒稼げればいいほうだろう。

 それにここへきての急加速、あれ程の速度が出せる事を今の今まで隠してきたのだ。それはつまりこの攻撃は必ず通すという意思表示でもある。

 

「そんならな、かまへん! タッチダウンとらしたれ! どうせハーフダウンや!」

 

 諦めたわけではないが、今からだと対応ができない。それならむしろタッチダウンをとらせて自分達のボールキープにした方が良いと判断した。

 それにもうフルバックを担がせると言ったことはさせないので半分の得点ですむ。

 三点、いや四点ぐらいくれてやる、あと十点取られなければいいのだ。ゆえにここはタッチダウンをとらせて次のゲームで時間を稼ぎつつ点をとる。これがベストだろうと思った矢先、チームメイトから通信が入る。

 

『リーダー! 向こうのクォーターバックが投擲フォームにはいった!』

「なんやて!?」

 

 ハーフラインの所、いやハーフラインを超えてこちら側へはいった所でエルザ・レイスが投擲フォームに入っていたのだ。

 ハミルトンは囮で本命はキャッチだった? と思うが、間違いなくハミルトンの持っているのはボールだったし、何よりクォーターバックはハーフラインを超えてボールを投げてはならないとルールで定められている。

 では何を投げるつもりなのか、今更ボール以外を投げるつもりなのか。

 

「ボール以外……はっ!? あかん! はよぉそいつを止めるんや!!」

 

 エルザ・レイスは既に投擲を終えていた。

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

『ハミルトンが猛烈な速度で駆け抜ける! 誰も追いつけない!』

 

 祭は実況の声を「当然よ」と呟きながら聞き流す。

 と同時にエルザ・レイスを前に出してハーフラインに近付ける。タイミング的にはすぐだ。

 

「貴族、脱いで!」

『いやん大胆!』

 

 気持ち悪い声を出す漣理を無視して祭はリーダー権限を利用してTJに装備しているジャケットを遠隔操作で外した。

 外れたジャケットは同じく心愛がネコチャンを使ってエルザ・レイスの手に持たせる。

 

『そんな、九重さん……まるで下等市民のような強引さで……でもそんなケダモノな上級市民もすてき』

 

 徹頭徹尾この気持ち悪い生物の声は無視して、祭はジャケットを投げるべく投擲フォームに入った。少ししてから敵が寄って来て阻止しようとしたが、もう遅い。

 事前にシミュレーションは終わっている、この位置からならハミルトンへ届く。

 

「届けぇぇぇ!」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 ある時を境にハミルトンを妨害する手が緩んだ。

 九重さんの言う通りだと宇佐美は感心した。

 

『届けぇぇぇ!!』

 

 顔だけチラッと動かしてエルザ・レイスが投げたものを確認する。TJの頭だったら掴めないかもと思っていたが、ジャケットなら掴みやすいから大丈夫だ。

 よく見るとネコチャンが貼り付いている。おそらく心愛が遠隔操作でジャケットの落下位置を調節しているのだろう、ますます安心だ。

 前方にフルバックはいない、さっき抱え上げた事を警戒してあえて身を引いたのだろう、半分くらいならくれてやるつもりの気持ちなのかもしれない。

 その油断を待ってた。

 

「キャッチ」

 

 ネコチャンによって相対速度を合わせられたジャケットを右手で掴む、この時になって再びフルバックが立ちはだかるが、宇佐美は冷静にジャケットをさらに上へ放り投げる。

 軽くなった身体で加速してフルバックの横を抜けて、放物線を描いて落ちてきたジャケットを再びキャッチする。

 そしてエンドラインを超えてタッチダウンをとった。

 重量制限はジャケットによってクリアしているのでハーフダウンにはならず、普通のタッチダウンとなる。

 

 

 ――――――――――――――――――

 

 

 宇佐美がやってのけた技を観て、白浜瑠衣はコックピットの中でほくそ笑んだ。

 去年の夏、自分と一騎打ちした時に見せた技だったからだ。あの時はボールだったが、今回はボールよりも重いジャケットをあの時と同じように投げている。

 

「トリックスターな技は君の得意分野だったね」

 

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