8:ロボ好き仲間たち
魔導機商会に向かった俺は、そこでCランク依頼『モンスター討伐による居住可能区域の拡張』を受けることにした。
要するにあれだ。モンスターの住処を荒らしまくって、人が住める土地にしてほしいってことだ。
魔導機の開発によって人類が住める区域は増えてきているが、それでも世界のほとんどの場所はモンスターに占領されているからなぁ。
そういうところを放っておくと、増えたモンスターが別の土地に大移動しようとするんだよ。
ついこの前、王都に向かってトロールの群れが進撃してきた件がちょうどソレだ。
この世界のモンスターは5メートルくらいのデカさを平気で持っているため、奴らのランニングコースに存在する村や街は一瞬でペチャンコにされてしまうのだ。
「……よくこれまで生き残ってきたなぁ、人類」
グラグラと揺られながら俺は思わずつぶやいてしまう。
ちなみに俺は今、開拓予定の森の向かって、複数人の魔導機乗りたちと行動を共にしている最中だった。
といっても自前の機体に乗って向かうわけではない。
重い物をいくつも運搬できる巨大イモムシ型魔導機『クルーズ・ワーム』に機体ごと乗せてもらえるサービスを利用していた。
『ピキャキャ~!』
元気に喚くワームくん。開拓予定地に向かってかなりのスピードで駆けていく。
ぶっちゃけ見た目は貨物列車だ。その全長は20メートル以上もあり、背中の部分が荷台に改造されている。
そこに俺たちは魔導機を固定し、『ヒマだから』ということで一か所に集まって駄弁っていた。
「んで聞いてくれよダルクの旦那~! この前ついに金が溜まったから、憧れの大口径ガトリングガン・ダブル装備が出来たんだぜ~!」
そう言って背中をパシパシ叩いてくるオレンジ髪の男。
こいつの名はバレルと言って、俺と同じくモンスターの掃討依頼を受けた魔導機乗りだ。
ロボに乗ってる人間にロボ嫌いはいないからな。他の連中も「こっちはこんな改造をしたんだぜ!」「あの装備が欲しいんだよな~」と楽しそうにロボトークしていた。
そこでふと、バレルが俺の機体を見ながら言ってくる。
「にしても驚いたぜ旦那。帝国騎士団と一緒に大活躍したってニュースはオレたちみんな知ってるが、マジでアンタ『コボルト』に乗ってたんだな」
「まぁな。もっとパワーやスピードのある魔導機はたくさんあるが、継戦能力まで考えたらコイツが一番燃費がいい」
コボルトは量産機みたいな存在だ。
魔力消費量は控えめだし、整備士たちにとっても練習機体のようなものであるため、どこの街の整備場でもばっちりメンテナンスを受けることが可能だ。
「足りない性能は装備で補うことができるしな。最近は胸部のプレートを厚めにして重量を上げたぞ」
「はぇ~。聞いた話だとすっげー速さで敵を斬りまくってたらしいけど、重量上げて大丈夫なのかい?」
「ああ。むしろ機体を重くすることで、大剣を振るった時に生まれる姿勢の乱れを減らしたんだよ。体幹が安定したことで、さらに速い剣撃が出来るようになったぞ」
戦闘時に重要なのは、走るスピードじゃなくて挙動の素早さだからな。
重量を上げたらそれだけ体勢が乱れにくくなる。重くすることはデメリットばかりじゃないのだ。
「膝関節への負担も当然上がるが、そこは足元に装備したダッシュローラーに補ってもらう。直線距離を駆ける時はローラー移動に任せ、足への負担を減らすって寸法だ」
「へー、考えてんだなぁダルクの旦那。じゃあ、顔の形とかいじらねーのも何か理由があったり? 色もデフォルトの黒いまんまだし」
「フッ……そこはロマンだ。素の状態に近い機体で強い敵をやっつけたほうがカッコいいだろ?」
そう言うと、魔導機乗りたちは「あ~それなんかわかるわ~!」と笑いながら頷いたのだった。
理解が得られたようで何よりだ。もちろん主人公みたいな専用機に乗って駆けるのも別のロマンがあるけどな。
それにこれからもどんどん機体をいじっていこうと思うし、最終的に原型がなくなっちゃったりしてな。
『ピキャ~! ピキャキャー!』
そんなことを思っていると、『クルーズ・ワーム』が足を止めた。
気付けば目の前には深い森があり、無数のモンスターたちが木々の隙間からこちらを見ている。
どうやら目的地に着いたみたいだ。
「よしっ、じゃあ行くかおまえら! 自慢の機体をモンスターどもに見せつけてやろうぜッ!」
『おうよーッ!』
声を上げるロボ好き仲間たち。
俺たちは一斉に魔導機に飛び乗ると、魔の森林へと突撃していくのだった――!
・次回他者視点です!
サイコパス伯爵の様子が……?
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