12:黒赤乱舞
突如姿を現した銀髪の美少女。
離れていてもどこかわかる病んだ雰囲気に、俺は「まさかっ」と叫んだ!
「ま、まさかおまえ、レーテ伯爵なのかー!?」
「いかにもッ! さぁ英雄よ、私と一緒に戦おうッ!」
彼女(!?)の意思に応え、真紅の機体が起動する。
両腕に翼の付いた人型の機体だ。
細身ながらも身体のあちこちに銃が付いており、両の手のひらからは赤い魔力を漂わせている。
何体もの敵を焼いた魔導式レーザーはあそこから射出されたのだろう。
……滑空することが可能で、上から敵を一方的に焼き払うことに特化した殲滅用機体。
それは間違いなく、お風呂やベッドでレーテ伯爵は懐かしそうに語っていた彼の『相棒』の特徴だ。
「いくぞ、『クリムゾン・ハーピィ』! 数十年ぶりの戦場だッ!」
そして機体は城より飛び立つ。
小高い丘の上から一気に街まで降りてくると、トロール型魔導機どもに対して次々とレーザーを放っていった。
『ぎゃああああああああ熱いぃいいいーーーッ!?』
『なんだアイツはー!?』
絶叫を上げて逃げ惑う敵たち。
つい先ほどまで我が物顔で街を荒らしていたというのに、今や蜘蛛の子を散らすようなザマだ。
「ははっ……どうしてあんな身体になってるのか知らないけど、強いじゃないかレーテ伯爵」
この調子なら彼一人でも大丈夫そうだろう。
こちらは魔力もすっからかんだし、休んでたって数分で方がつきそうだ。
――だがしかし、
「休んでなんていられないよなぁ、『ワイルド・コボルト』!?」
『ワフゥーッ!』
俺の言葉に相棒が応えた!
そう、レーテ伯爵は“一緒に戦おう”と俺に言ってくれたんだ。
こちらがボロボロなのは知っているだろうに、まだ戦えるだろうと俺を『戦友』として見込んでくれているんだ。だったら応えるのが男ってもんだろう。
「それに、まだまだ街には逃げ遅れている人もいるんだ。敵連中を1秒でも早くこの世から消し去らないとな!」
俺は心臓をバシッと叩き、無理やり心拍数を上げた。
疲労と魔力切れで途切れそうな意識を繋ぎ止め、無理やり魔力を生成して機体に流し込むッ!
そしてコボルトは再起動を果たす。
敵に飛びかかり、その頭をバキッと蹴り飛ばした――!
そこにレーテの機体が舞い降りてくる。
「うぅむ、やはり長く飛ぶことは難しいな……。魔力消費も激しいし、詰め込んだばかりの脳がグラグラする……」
「つ、詰め込んだばかりの脳って……まさかアンタッ、身体を入れ替えたっていうのか!?」
「うむ! 拾ってきた孤児の一人に、病気で脳死した少女がいてな。回復を見込んで生命維持だけはさせていたんだが、無理そうだから病院から拉致って闇医者に駆け込んだッ! 『私を彼女に詰め込んでくれ』ってな!」
って相変わらず頭おかしいなコイツッ!?
その発想力と倫理観のなさに思わず溜め息を吐いてしまう……。
たしかに魔導機技術の発展によって一部医療器具がハイテクになったこの世界なら、臓器の移植手術も可能っちゃ可能だ。
だけど脳移植なんて前代未聞だろ……。
「ははっ、よく成功したなぁ……」
「あぁ、何度か昇天しそうになったさ。だがそのたびにダルクくん、キミのことを想って耐えたぞ……ッ! 戦っている戦友がいるのに、一人でラクになることなんて出来るかッ!」
「レーテ……」
……相変わらずコイツは歪んでいる。
だけど、男としての信念だけはどこまでも熱く真っ直ぐなままだ。
ロボを愛し、英雄に熱くなり、そして友情を重んじる心意気を持った立派な男だ。
通信が接続され、モニターに彼の姿が表示される。
そこには元の面影すらない銀髪の美少女が映り込んでいたが、情熱に燃えるガン開きの病んだ瞳孔だけは変わっていなかった。
そんな時だ。俺たちの周囲を、生き残りの敵たちが囲み始めた。
『クソォッ、おかげでチームは滅茶苦茶だぁ!』
『死にやがれバケモノどもがァ!』
このまま逃げても未来はないと悟ったのだろう。敵連中は一斉に突撃してくる。
そんな中、俺とレーテは背中を合わせてニヤリと笑った。
「よぉ戦友、こういう状況燃えるよなぁ!?」
「応とも戦友! 見せてやろうか、私たちの力をッ!」
男のロマンを味わいながら、俺たちは共に駆け出した。
漆黒の人狼と真紅の鳥姫を自在に動かし、敵兵団を殲滅していく!
さぁレーテ、思う存分暴れようぜぇ!
「「いくぞッ、俺たちの戦いはこれからだ――ッ!」」
※打ちきりじゃないです!普通に続きます!
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「俺は長男だから諦めない」~『ファイヤーボール』しか使えず『ブラックギルド』を追放された俺、『10万年』修行したことで万能魔法に到達する。戻れと言われても『もう遅い』。ホワイトな宮廷に雇われたからな〜
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