9/9
9
雨である。
さらさらと降るものだから、傘が杖にもなっている。
ひとつ大きな仕事を終えて、燃え尽き症候群みたいな虚無感に襲われながら、慣れと惰性と周りの温情で、過ごしている。
深呼吸をする。
ため息を付けば労ってくれる仲間がいるからこそ、まだ頑張ろうと思えている。
今は次の仕事だ。大きさなど本来なら関係ないが、どうも手を抜きがちになる。
と、目の前にやつが飛び込んでくる。
「お昼だよ。休憩しよう。」
いたずらの犯人が笑いながら、やつを上下に動かす。
なぜ、そんなものを用意したのか、問いただしたいが、たぶん、はぐらかされるだけだろう。
今度はため息をつき、お昼休憩のために立ち上がり、いたずらの犯人に着いていく。
その手から、寝たままのやつを奪って。
2019/04/26