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風が強く吹き、乾いた土が砂ぼこりとなって舞い上がる。
とっさに腕を上げて、顔を庇うも少し目に入る。
砂ぼこりの入った眼を閉じて、洗って流そうと周囲を見やる。
コンビニの看板がいくつか目に入る。
目を洗うくらいの時間は走って補えるだろうと、近くの店舗に入ろうとする。
「あれ?どうしたの?」
背後から、女性の声がかかり、振りかえると、にこりと微笑まれ
「ああ、砂、入っちゃったんだ。・・・なら、こっち。そこのコンビニ、トイレないから。」
と、手を取られて、向かおうとしていたコンビニとは反対方向へと連れられる。
彼女とは、顔見知りというほど、会ってはいないが。
とはいえ、案内された場所は本来向かおうとしていた場所で。
「案内ありがとうございました。」
トイレの前でお礼を言う。これなら、待ち合わせの時間に遅れることはないのだが。
「いいえ、どういたしまして。洗い過ぎも気を付けてくださいね。」
彼女はそう言って、また、外へと歩いていった。
その手に握られていた財布には、小さなやつのチャーム。
私のカバンからこっそり覗いていた姿と同じだった。
2019/04/07