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「でね?神社に行ってみたんよ。」
彼の前に置いてある、普通の2倍はありそうなパフェの器。数分前に出てきたはずなのに、すでに空になってしまっている。
「そしたらさ、いるわいるわ。もう・・・ほら、この子とか!・・・と、こっちの子も!いや~、天国だった!今度、一緒に行こう」
弾んだ声で話される内容が、女の話しならば、もう少し私も楽しい。だけど、公共の場で、でれでれした顔で話す内容が・・・。
「場所を考えて誘って。その話し方は誤解を生む。」
もう話されてしまった以上、無駄な足掻きでしかないけれど。
「はいはい。気を付けますよ。・・・で?この子とかどうよ?」
「言い方」
「ーー堅苦しい。まあ、嫌いじゃないけど。・・・ああ、この三毛猫なら、好み?」
スマートホォンに映し出される猫の写真の数々。
「この灰色と、こっちの灰色は同じ猫?」
「うん?あー、どうだったかな?・・・・あそこと、あそこだから・・・別猫かな?」
彼の話しにのせられた。
家に増えたやつを思い出して、似ているな。と思ってしまったのが、いけない。
2019.3.22