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耳元でアラームが鳴る。静かに静かに起きる。
少し開いたカーテンから見える空の色はまだ群青で。
結露対策に貼ったシールが頑張っている。
窓の近くに置かれた暖房の前で"寝ている"。
気持ちよさそうに顔が少しにやけて、ぐるっと丸まっている。
ぬくもりから出た身体は冷えていき、ついつられて、一緒に寝てしまいたくなるほど幸せそうにしている。
なので、今日も私は遅刻しそうになって慌てて家を出る。
電源を切らなければならない暖房を切るのがしのびない。
それでも、と覚悟を決めて、なるべく、と日向になる場所へ運ぶ。そんなことをしていると、時計はあっさり進んでいて。
いけないいけない、バスに乗り遅れたら大変だ。
---ただいま。
返事は返ることはない。そして、部屋の中を見れば、朝と全く同じ場所で、幸せそうに寝ている。
夕飯と寝る支度を行う音をなるべく小さくしようとしても、どうしても出てしまう音にも反応せずに、のんびりと寝ている。
どうしようか、作ってしまった夕飯をみて考える。
どうにもつられて眠い。ここ最近、ずっとそうだ。幸せそうに寝ているのが、近くにいると眠りは移るのだろうか?
---しかたがない。
明日の朝食兼昼食の分にでもして、寝てしまおう。うん、それでいい、や。
むー、明日の朝、シャワーを浴びてから、出かけよう。
もう、今日はお休みなさい。
2019.3.4