7.<苦しくったって>
無気力、放心状態に包まれた桃美。
夢いっぱいに思い描いていたトオルとのリアルの時間。
今日という日への落し物。
そう、心を落とした・・・・・・・。
家に着くと、携帯が鳴った。
あわてて携帯を開くと、トオルからのメールだった。
「今日は、わざわざ来てくれてありがとう。楽しかったよ。」
え??? 楽しかった??? どこが???
会話もまったく弾まず、笑顔を交わす事もなかった時間の、どこが楽しかったというのか?
頭の中が、疑問符だらけになった。
桃美は、素直な気持ちを、彼にぶつけた。
「もっと話したかった、手に触れたかった、笑顔が欲しかった。何故なの?」 返信した。
「想像と違ったよ。もっと明るい君を想像していたんだけどね。つまらなそうな顔をしていたしね。」
ええ〜。桃美は明るいよー。
何を質問しても、返事がつまらなそうだったのはあなたの方じゃない。
想像と違う? イメージが、タイプではなかったと言いたいの???
色んな憶測が、頭の中をぐるぐると駆け巡り、胸を苦しくする。
何で?どうして?何がいけなかったの? と・・・・・・。
次の日から、トオルからの熱いメールは、パタリと消えた。
昨日の出来事から予測はしていたが、
やはり、桃美にとっては、ショックな出来事で、心に傷を残した。
愛してる?好き?
一体、今までのやりとりは、何だったの??? いきなりの手のひら返し?
その後、桃美の私生活は、食事も喉を通らず、生気のない顔つきにと変貌した。
無気力ながらも、依存していたチャットルームにはインする毎日。
煮え切らない気持ちを、笑顔をふりまいてまぎらわしていた。
〜私の笑顔の奥に隠れた悲しい姿に、誰も気がつかない・・・〜
哀れな日々を過ごした。
とうとう苦しい胸の内を我慢できずに、トオルにメールをした。
「今でも、こんなに好きなのに・・・・。私、どうすればいいの?」と。
「俺たちさ、既婚者だろう?いい加減にお互いの生活に戻ろうよ。
あれはあれで、お互い楽しんでいたんだし、俺は、リアルで逢ってよかったと思ってるよ。」
桃美、絶句。これ以上、どうすることもできない。
誰にも相談できない。必死にひとりで、もがく毎日だった。
すべて、一人芝居の妄想だったのか・・・。
彼女の素直なストレートな心だけが、置き去りにされた。
それでも、チャットルームにインをする。
いや、そんな状況だからこそ、チャットに依存していたのかもしれない。
これから、どこの道へ行くのだろうか? 桃美、ファイト!!!