4.<心理状態>
何だろう・・・。 毎日、心が躍った。
〜ふわふわ、くるくる、タンタタン〜
地に足がついてない、まるで空中を上に下にと舞っているかのよう。
そういうダンスを踊っているみたいであった。
そして、桃美の周りが常にバラ色の景色だった。
寝ても覚めても、夢見心地の時。
トオルも、精一杯の愛情表現を、携帯メールに注ぐ。
朝起きると、
「おはよう、素敵な快晴の朝だね、まるで、僕たちを祝福しているようだ。」
胸がキュン〜と高鳴る瞬間。しめつけられる苦しい思い、でも、嬉しい感動。
昼になると、
「今も、桃美のことだけを考えていたよ。」
たまらないドキドキ感。
夜になると、
「お前のことが、好きで好きでたまらないよ。」
「優しくていつも明るい桃美に惚れちゃったなー。」
そんなに桃美のことを想ってくれるんだ・・・・。
そう錯覚せざるおえない状況の、熱い熱いメールだった。
毎日毎日、一日に何通も、桃美の携帯に受信されたラブメール。
携帯を頻繁に眺めては、顔が赤らむ日々であった。
トオルは、既婚者である。どこにでもいる普通のサラリーマン。
何故、彼が深夜にチャットをしているのか、当時の桃美は、知らなかった。
が、後に、その理由を知ることになる。
彼との出逢いは、坦々と主婦業をしていた桃美にとって、幸せそのものだった。
彼女は2児のお母さん、そして、世帯主の妻。
すでに、女として生きる術を失いかけていた。桃美36歳。
その後、桃美は、「女性」というものに目覚めていく・・・。