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12.<次から次へ >

3人目の異性マサヒロもまた、携帯の鬼であった。

朝から夕方まで、来る日も来る日も、恋愛モードのメールを送信してきた。



「俺は、桃美の優しさに惚れたんだなー。」


「織り姫と彦星のように、ロマンチックな恋だよねー。」


「10年後も、このまま、桃美といたいよ・・・。」


「せつないよ・・・・でも、素敵な出逢いだね。」



女性として、これほど嬉しい言葉はなかった。

桃美は、何よりも、マサヒロからのメールを大事に保存していた。

返すメールにも、精一杯の愛情を表現した。


「あなたに出逢えて、こんなに幸せです。」


「いつの日か、何年後になるかわからないけど、絶対に、逢いたいね。」



桃美は、恋の・・・・いや、妄想の奴隷だった。





そして、ある事件が起きた。

マサヒロは円満な家庭を持っていた。少し、カカア殿下の家風。

ある日、カカア殿下の奥さんに、携帯を見られてしまう。

その後、携帯を破壊されたとか・・・。


携帯を肌身離さず持ち続けることは、家族からみたら、怪しいと予感する行動である。

大人の駆け引きとして、失敗。

これを機に、しばらく、マサヒロとは、連絡がとれなくなってしまった。

桃美は、号泣した。



それは、マサヒロとの連絡がとれないことへの涙ではなく・・・。

桃美をふわふわさせるものが消失してしまうという、恐怖であった。


それほど、妄想の奴隷に変貌していた。





マサヒロとの連絡がまばらになった桃美は、次の妄想へと暴走していく。

それが、4人目の異性、アキラだった。


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