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魔法幻想紀 - 迷宮都市の賢者と魔術師 -   作者: 花京院 光
第三章「フレーベル編」
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第六十一話「賢者ハースの魔石」

 ついにヘルフリートの魔石が眠る部屋に入った。部屋は宝物庫の様な雰囲気で、部屋の壁にはぎっしりと本が並んでおり、大きな宝箱が三つ置かれている。


「エミリア。この部屋の物は俺が生前使っていた物だよ。どれでも好きな物を持って帰ると良い?」

「え? 本当?」

「勿論さ。俺とエミリアはこれからも一緒に生きていくんだ。必要な物があれば持っていくんだよ」

「ありがとう!」


 ヘルフリートは自分がかつて使っていたアイテムを嬉しそうに眺めると、目的の魔石が入っている宝箱を開けた。宝箱の中からは十五センチ程の小さな魔石が出てきた。ヘルフリートは魔石を見つめると、嬉しそうに握りしめた。


「ついに手に入れたんだね」

「ああ……」


 透明な魔石の中には、銀色の美しい魔力が渦巻いている。まるで魔石の中に星空が広がっているような感じ。


「エミリア。この魔石は君が持っていてくれ」

「いいの……?」

「良いんだよ。この魔石を使って俺を召喚してくれ……いつの日か」

「うん……」


 私はヘルフリートから魔石を受け取ると、彼の力強い魔力が伝わってきた。いつかヘルフリートを元の体に戻せる日まで、私が大切に持っていよう。魔石を鞄に仕舞うと、ヘルフリートは二つ目の宝箱を開け始めた。


「そうだ。この宝箱には空の魔石を詰めておいたんだ。いつか魔法を込めて、自分の力を後世に残そうと思ったが、そんな余裕もなかった」


 ヘルフリートは、宝箱の中から空の魔石を全て取り出し、鞄に仕舞った。三つ目の宝箱は特に大きく、頑丈な鍵が掛けられている。ヘルフリートが鍵に手を向けて小さく魔法を呟くと、鍵が外れて宝箱が開いた。中には銀色の杖が入っていた。今まで見たどんなアイテムよりも力強い魔力を感じる。三十センチ程の杖で、杖の先端には魔石が嵌っている。


「これは俺が大魔術師になった時に、町の腕利きの杖職人に作らせた物だ。魔力を強化し、低レベルの魔法を打ち消す効果がある。大体レベル5までの魔法なら無効化出来る」

「魔法を無効化? それって最強なんじゃない……?」

「そんな事は無いさ。無効化出来るのは低レベルの魔法だけだ。レベル6以上の威力な魔法を防ぐ力はない。エミリア、この杖を使うんだ」

「私が使っていいの?」

「ああ。良いとも」

「ありがとう……」


 私はヘルフリートから杖を受け取ると、自分自身の魔力が信じられない程強化された感覚を覚えた。ギルドカードを見てステータスを確認してみよう。


 エミリア・ローゼンベルガ―

 Lv.6:力…235 魔力…580 敏捷…300 耐久…345

 属性:【聖】【氷】【水】

 聖属性魔法:キュア ヒール バニッシュ ホーリー ホーリーシールド ホーリーソード エンチャント・ホーリー ナイトの召喚

 氷属性魔法:アイス アイスジャベリン アイスシールド アイスエレメンタル

 水属性魔法:ウォーター ウォーターボール

 魔法陣:魔法反射の魔法陣  大地の魔法陣 罠の魔法陣 氷の魔法陣 氷霧の魔法陣

 杖:大魔術師の杖(魔力+80)

 防具:ホワイトパラディン・シルバーメイル(耐久+30 魔力+30)

 防具:ホワイトパラディン・シルバーガントレット(耐久+20 魔力+15)

 防具:ホワイトパラディン・シルバーフォールド(耐久+20 魔力+15)

 防具:ホワイトパラディン・シルバーグリーブ(耐久+20 魔力+15)

 防具:霊力のローブ(魔力+20)

 装飾品:妖精族の指環(魔力+10)

 装飾品:約束の首飾り(魔力+20)

 特殊効果:ホワイトパラディンの誓い(魔力回復速度上昇)

 特殊効果:賢者の誓い(自動回復・魔力回復速度上昇)

 特殊効果:大魔術師(レベル5以下の魔法を無効化する)


 大魔術師の杖が魔力を80も強化している。本当に凄い装備なんだ……もうすぐレベルも6に上がるし、この調子なら数年後には天空の魔法陣を使いこなせるだろう。


「実はこの部屋には杖と魔石以外めぼしい物は無い。魔王との戦いで、杖以外の装備は全て破壊されてしまったからな。本の種類は豊富だが、今の時代なら安く買える様な物ばかりだろう」

「そんな事無いと思うよ! この魔方陣に関する本。貰っても良い?」

「ああ、いいとも」

「ありがとう!」


 私は一冊の古ぼけた本を頂いた。これが600年以上前に、ヘルフリートが使っていた本なんだ。本のタイトルは、『最上級魔法陣』だ。本を開いてみると、氷霧の魔法陣や、大地の魔法陣等、古い時代の魔法陣がぎっしりと書かれていた。これは素晴らしい本だ……。


「最後に……生前の俺が残しておいたお金がある。確かこの宝箱の底に隠しておいたんだ」


 ヘルフリートは、杖が入っていた宝箱を念入りに調べると、宝箱の底が開いた。中からは大きな革の袋が出てきた。ヘルフリートが袋を開けると、金や銀、白金等の硬貨がぎっしりと詰まっていた。


「俺が世界中を旅しながら集めたお金さ。当時でも相当の価値があった物だ。これを売れば俺達はたちまち富豪になれるかもしれないな」

「だって、600年前のヘルフリートが集めた硬貨でしょう? 今の時代なら相当価値があるんじゃないかな」

「うむ。中にはガザール歴100年の硬貨もある。今の時代ならどれだけの価値があるか楽しみだな」

「夢だった家を買うのも、今世で叶えられるかもしれないね!」

「ああ。家を買ってエミリアと共に暮らすんだ」

「楽しみだね」


 ヘルフリートは懐かしそうに部屋を見渡すと、私の手を握った。


「戻ろうか。フィリアも待っている。必要な物は手に入れた。お金に魔石、それから杖も」

「うん……この杖、本当に私が貰っていいの?」

「いいんだよ。その杖があればエミリアがより安全に生きられるだろう? 俺が昔使っていた装備を使い、己を鍛えるんだ。いつの日か俺を召喚できる日まで……」

「勿論だよ。絶対十年以内にヘルフリートを召喚してみせる!」

「その意気だよ」


 部屋を出た私とヘルフリートは、扉を閉めると、自動的に仕掛けが再発動し、部屋の扉には強い魔力が掛かった。それから私達はすぐにフレーベルの町に戻った……。

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