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THE・クイーンメロン

 メロンとの抗争が始まり早数年。

 人々の間にはメロンとの戦いに対する厭戦感が漂っていた。

 メロン栽培反対運動である。

 人類の敵であるメロンを生みだし育む行為は人類を滅亡に追いやる行為だと叫び始めたのだ。

 こうして食卓の王、果物の中の果物メロンは食卓より、消えた。

 人類は平和を手に入れたのである。


 ◆


 などという事にはならなかった。

 メロン栽培が禁止されたというのにメロンは発生し続けた。

 何故だ!? メロン栽培は禁止された筈だ。

 人々は怒り、かつてのメロン栽培業者に襲撃した。

 魔女狩りならぬメロン業者狩りだ。

 無実の業者が恐るべき拷問にかけられた。

 メロンの写真を踏まされ、メロンっぽい匂いを嗅がされ、キュウリに蜂蜜をかけて食べさせられた。

 だがそれでもなおメロンは増え続けた。


 決死の調査の末、メロンの増殖する原因が判明した。

 それは野生のメロンであった。

 クイーンメロンと呼ばれる野生化したメロンがメロンを生み出し続けているのだ。

 人類がメロンから解放されるにはこのクイーンを倒さねばならない。

 人類は対クイーンメロン殲滅部隊(antagonism queen melon annihilation commando)を結成しこれに対抗した。

 通称、AQMAC(悪魔っ子)の誕生である。


 ◆


 クイーンメロンとの戦いは熾烈を極めた。

 雪崩の様に襲い来る野生のメロン。

 通常よりも小柄で皮の硬い野生のメロンに対し、通常の銃弾では効果が薄かった。

 当て辛く当たっても貫通してしまうのだ。

 そしてマシンガンでミンチにしてもメロンジュースが襲ってくる。

 焼夷弾で諸共に燃やそうとしても、クイーンメロンの居る場所は自然保護区域に位置しており環境省と自然保護団体が猛烈な反対を行い実行は不可能だった。

 海外から来た自称ハンター達は野生メロンとクイーンメロンを生物兵器として研究する為やってきたが、野性メロンの群れに襲われて全滅した。尚、残された機材から敵性国家のスパイと判明したので政治カードとして利用される事が決定し、こっそりと野生メロンは感謝された。


 ◆


 戦線が硬直する中、メロン教なる信仰宗教団体が出現。

 それはクイーンメロンを穢れた俗世を浄化する女神として信仰するイカレた団体だった。

 彼等はメロンは神聖な存在であるとAQMACに対し攻撃を始めたが即座に後ろの森から現れたメロンに食べられ全滅した。

 政府はメロン教をテロリスト集団と認定し、教祖を拘束逮捕した。

 彼は生粋のメロンジャンキーであり、クイーンメロンが滅びる事でメロンが食べられなくなると危惧してメロン教を立ち上げたと自供した。

 どうでも良いので無期懲役となった。


 ◆


 こうして多くの(人間からの)妨害を受けつつもACMACはクイーンメロンの討伐に成功。

 人類は3日ほど勝利に酔いしれ、翌日他の野生化したクイーンメロンに遭遇してへこんだ。

 植物だから当然だよね。

 

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