幕間ーチャールズ
幕間として、他者視点の話を描きます。
他者視点の場合は、幕間ー◯◯とその視点の人物を表記します。
私が妻のメアリに初めて会ったのは、12歳の時だ。
まだ存命だった父がお前の結婚相手を決めてきたと言って、紹介されたのが彼女だった。
子どもの頃から将来の大公家当主とされてきた以上、結婚が政略なのは止むを得ないと自分も思ってきた。
だが、できるならいい人と結婚したいと思ってきたが、彼女の最初の印象に自分は失望させられた。
何かというと彼女から皇帝の孫娘と言うのを鼻にかけているような高慢な感じが私にはするのだ。
皇帝の孫娘なのは本当だが、皇妃が産んだ子なので、彼女の父は早々に帝室から貴族に降りている。
(最も他に4人も男兄弟がいたので、当時の帝室としては皇太子候補に困らなかったというのもある。)
それに彼女の母方の祖父は若死にしたのもあるが伯爵で終わっている。
そういうことからすると、大公家次期当主の自分の血筋がそう引けを取るものとは思えない。
私の母方の祖父は公爵なのだ。
そんな感じで余りいい印象が無いまま、私と彼女との初対面は終わった。
その後、婚約者同士として彼女と私は文通した。
彼女は決して頭は悪くないと思うのだが、文面からも高慢な感じが漂ってくるような気が私にはした。
それもあって、婚約後に急死した父の代わりに大公家当主になった叔父のヘンリーから、彼女との同居を勧められても私はその気にならず、結婚式の後でと半分逃げ回った。
お前の身分なら婚約した以上、彼女と同居すべきだろうとまでヘンリーに言われたが、自分は何となく嫌だったのだ。
侍女に手を出して第2夫人にして、彼女を飾り物の正妻にすればいい、と悪友の1人は私に言った。
だが、それも何となくだが彼女と第2夫人が対立しそうで気が乗らず、侍女には自分は手を出すだけに止まった。
そして、いよいよ彼女との結婚式の日が近づいた。
自分は北山の山荘に気を紛らわすために赴いた。
彼女の父の山荘も近くにある。
そういえば、毎年の夏には避暑のために彼女はここに来ていたはずだ。
せめてよい侍女が彼女の近くにいないものだろうか。
そう思いつつ深夜に散策していた際に、アンに自分は出会ったのだった。
彼女の美貌に魅かれて誘ったら、彼女はすぐに自分に応じてくれた。
後で自分は知ったことだが、彼女は世間知らずでそういう意味とは思わずに応じたのだった。
そして、あの夜、アンと自分は男女の仲になった。
あの時、何で正直に自分の正体を明かさなかったのだろう。
悪戯心が湧き、別人の悪友の名を名乗り、また連絡すると言った。
そして、結婚式の後で正体を明かそうと思って別れた。
メアリとの結婚式と披露宴。
いろいろとばたばたしている内に結婚式は済み、披露宴になったように自分には思えた。
そして、アンが、メアリの妹だったと知った。
よりにもよって、彼女がメアリの妹だったとは。
彼女とは結婚できないというショックから、私はしばらく憂鬱になった。
メアリとの新婚生活が始まった。
メアリは同居すると気立てのよい女性だった。
何で早く同居しなかったのかと思ったほどだ。
だが、前から彼女についていた侍女の話によると結婚の後、メアリの性格はかなり変わったらしい。
自分と結婚して好かれたいと思って変わったのではということだった。
そして、夫婦生活。
彼女は子どもが早く欲しいと積極的で、自分は周囲から新婚とはいえ、夜は程々にな、とからかわれる有様になった。
実際、叔父のヘンリーに自分は何か悪い病気でも掛かったのか、と心配をかけたほどだ。
そういうことをしていると当然のことながら、メアリは早速、妊娠したが、流産という結果になり、メアリは衝撃の余り、寝込んでしまった。
自分は慌ててできる限り付き添うようにした。
彼女を心から愛していると思った。
そして、アンとのことはアンには申し訳ないが、自分は忘れなければならないと思った。
だが、運命はいたずらものだった。
そうしている時に、アンの妊娠を知ったのだ。




