第12章
第4部では完全にアンは後ろに下がった状態になる。
私も、この世界の状況を調べて、ああ原作ではこう伏線を張っていたのか、と分かったくらいだった。
アンの視点では分かりにくいが、チャールズは皇帝ジョンと成長したキャロラインを結婚させる。
キャロラインは皇貴妃(この世界の皇帝の夫人の地位の1つ、皇后、皇貴妃、皇妃の順になる。皇妃は複数(4人前後)いるが、皇后、皇貴妃は1人だけしかなれない)になり、すぐに皇子トマスを産む。
皮肉なことに皇后マーガレットには子どもはおらず、このまま行くとトマスがいずれは皇帝になり、チャールズが外祖父として帝国を握ることになる。
それを嫌った元皇帝ジェームズは、アンが妊娠したことからアンの子を皇后マーガレットの子として帝位を継承させるということを考えつく。
アンは完全にチャールズと敵対することになるジェームズの考えに反対するが、最早、マーガレットまでこれまでの経緯からジェームズ側に立っていた。
アン1人の反対も空しく、アンが産んだウィリアムはマーガレットが産んだ皇子として公表され、皇太子になる。
そして、エドワードは義姉マーガレットの子であるウィリアムが皇太子になることに賛成する。
これに怒ったチャールズはエドワードの大公位継承者の地位をはく奪し、キャサンとの間の息子アーサーを大公位継承者にした。
アンは何とかチャールズの怒りをなだめる等して両者の和解を図ろうとするが、最早、帝室と大公家の政治的対立は抜き差しならない所になっていた。
更に、皇帝ジョンが急死して、ウィリアムが皇帝に即位したことから、チャールズは叛乱を計画する。
アンは愛する人と息子が殺しあう事態を眼前に控えて心労から倒れてしまう。
どうしてこうなったのかとアンは悩み、チャールズや自分の実の子どもたちの将来を案じながら、
「私はチャールズと結婚したかった。准皇后や皇帝の母などなりたくなかった」
と養女でもある皇后マーガレットに遺言してこの世を去り、原作は結末を迎えるのだ。
3人いる実子の誰一人、アンの最期を看取らない結末はアンの最期の孤独を象徴するものだった。
それにしても、アンは原作では、皇后の養母、皇貴妃、大公継承者、皇帝の実母に最終的にはなる大事な存在だ。
どうすれば、私もアンも幸せになれるのだろう。
そして、このまま行くと皇帝や大公は誰が継ぐことになるのだろう。
いろいろと私は考え込んでしまい、調べれば調べるほど身動きが取れなくなっていった。
そして、帝国の実情とか歴史とかを調べることによって、前の世界の素晴らしさを痛感することにもなった。
中世文化レベルのこの世界では当たり前だがネットなんてあるわけがない。
印刷技術すらないので、書籍は全て手書きなのだ。
そんな世界なので帝都なのに、私が利用できる図書館すらない。
(官僚なら利用できる公文書館はあるみたいだ。)
この世界の女性の教養は、詩作と音楽が基本だ。
それ以外に興味を持つと最悪の場合、変わった人扱いされかねない。
チャールズに下手に話すと不審がられそうなので、父に気分転換に資料は無いかとおねだりしては、資料を手に入れた。
それにしても、父は昔の宰相時代のコネを使う等、苦労したみたいだった。
そんなこんなで私が資料を手に入れて、読みこむのにも1年近くかかった。
気が付くと、私とチャールズが結婚して3年近くが経ち、アンは18歳になろうとしていた。
原作の説明回の終わりです。自分が思っていたよりかなり長くなりました。
また、合わせてプロローグの人物紹介を完全改訂しました。
そうしないと作者の私が人物を間違えそうなので、本当にいろいろとすみません。




