7話 自警団初日
シグルトが造った包丁の出来は悪くなかったらしく、トールはそれを受け取った。シグルトが誰からの依頼なのか、そう訊ねるとトールは笑ってスルーズにと言った。年明けにスルーズが成人するので、家事道具などを徐々にだが揃えてやりたいと言うことだった。
「スルーズも気に入ってくれたようだし、俺の目から見ても良い出来だった。これからは少しずつ仕事を渡すからしっかりと励んでくれ」
そう言ってトールは笑う。認めてもらい、自分の包丁がスルーズの嫁入り道具の1つとなるのであれば光栄だった。
「俺の方も出来たぜ」
そう言ってマグニは斧の刃をトールに見せる。シグルトはその斧の出来を見て、流石だと思わされると同時に、励まなければと気を引き締める。
「中々だな。よし、これで良い。後でちゃんと取り付けておけ。お前はそういう作業が下手でいけねぇ」
「大人しく褒めるだけにしてくれれば良いのによぉ」
そう言いながらも、マグニはどこか嬉しそうだった。やはり、仕事が認められるのは嬉しいものなのだろう。
「そう言えば、そろそろ年越しだけどよ、シグルトはなんか考えてるのか?」
「一応掃除をして、神への捧げものを用意する。その後は神に感謝しながら、ゆっくりと酒を飲みつつ、寝るさ」
シグルトには集まる親族などいなかった。だから、一人で神にこの出会いに感謝をしながらまどろもうと思っていた。
「なんだ、それなら家に来い」
マグニはいつもの夕食に誘うような気軽さで笑う。
「いや、だが新年は親族で集まるんだろう?なら、邪魔になるんじゃないか?」
「ならねぇんだ。親父にゃ弟が居たが、弟は夫婦共々死んじまってる。爺さん婆さんも、もういない。他に兄弟もいないから、家族と同じように集まる人がいないスクルディアの家とでいつも集まるんだ。だから、お前もついでだから来いよ」
そう言ってマグニは笑う。
「フレイアの家は色々と親族から何から集まるけど、途中で遊びに来るしな。お前もそんなのりでくれば良いさ。家族も歓迎する」
「そう、だな。じゃあ、おじゃまさせてもらうよ」
「おう、それでいいそれでいい」
こうして年明けはマグニの家で飲むことになった。一人寂しい新年を迎える予定だったが、マグニが誘ってくれたおかげでそうならずにすんだ。
当日はとても騒がしく、賑やかであり、14歳になったスルーズが酒を飲んで倒れたり、マグニが食事を食べ過ぎて母であるヤールンサクサに怒られたり、様々なことがありとても楽しく過ごせたのだった。
年が明け、一段と寒くなったある日、テュールが訊ねてきた。外は雪がちらついており寒く、シグルトは家の中に招いた。寒いだろうと暖炉に薪をくべていると、テュールが話始める。
「体は、もう大分いいのか?」
「はい。エイルさんにも傷口はほぼ完全に塞がったと言われました」
マグニとの戦いで開いたりした傷も塞がり、完治したと言ってよかった。シグルトは薪をくべ終えると、沸かしていたお湯を注ぎ、テュールに差し出す。
「そうか。ならば、シグルトにも村の人間として自警団に入ってもらう」
14歳以上の男は全員自警団員となる。それが村の掟だとマグニたちは言っていた。
「はい。私は村に受け入れられました。怪我も良くなった以上、村の掟に従います」
テュールはお湯をすすりながら頷く。そして、僅かながら笑顔を見せてくれる。
「シグルト、私の前でそう緊張することはない。いつも、皆と話すときのように俺、と言ってかまわないんだ」
テュールはそう言って笑う。言われてみて、シグルトはテュールの前で私と言っていたことに気づく。少し余所余所しかっただろうか。そうシグルトが思っていると、テュールはもう一度笑い口を開く。
「言ったそばから気にするなと言っている。マグニの言うとおりだな。シグルトお前は生真面目すぎる」
そう言ってもう一度お湯をゆっくりと飲んだ後、テュールは口を開く。
「盗賊なんかをやるには、お前は生真面目すぎると私は思う」
それはテュールがシグルトはガルム旅団の一員ではないだろうという事だった。シグルトはテュールに村人と認められたことを喜ぶ。
「とりあえず、明日来て欲しい。時間は2回めの鐘がなるまでに集まって欲しい」
「わかりました。何か必要なものなどは……」
「大体は自警団で用意する。だが獲物が自分の手に馴染んだものの方がいいならそれを持ってくることを禁じたりはしていない」
シグルトは自分の剣を持っていこうと思った。やはり、それが一番だろうと思っていた。
「あぁ、それと昼飯も自警団で出す。昼過ぎて少ししたら解散だ。それが訓練の基本だ。見張りなどについてもらうこともあるが、それは追々説明しよう」
説明をしたあと、テュールはまた水を一口飲んでシグルトに問う。
「この村の暮らしはどうだ?」
「他と比べることができないのが残念ですが、良いところだと思います。皆良くしてくれてますし」
そう言うとテュールはそれなら良かった。と頷く。
「仲良くしているものたちも居るようだな。マグニたちと一緒にいるのを良く見かける」
「はい。マグニ達といると、その、落ち着くんです」
まるで家族といるみたいだ。と言うのは流石に恥ずかしく、シグルトは口に出来なかった。そんな微妙なニュアンスもテュールは汲み取ってくれたようだった。
「よき友は大切にするといい」
そう言ってテュールは頷く。そんなテュールも生真面目だな。とシグルトは思う。
「邪魔をした」
そう言ってテュールは飲み干した杯を置いて立ち上がる。
「いえ。大したもてなしもできず……」
「男の一人暮らし、なに、気にするな」
そう言って、テュールは雪がちらつく外へと出て行く。その時にただ一言頑張ってくれ。といって帰っていった。今までテュールに対しては厳格な団長というイメージであったが、どこか父や兄を思わせる頼もしさをシグルトは感じたのだった。
翌朝少し早めにシグルトが詰め所を訪れるとマグニがいた。マグニは眠たそうに欠伸をしながら近寄ってくる。
「おう。それにしてもお前は予想を裏切らない奴だなぁ。もう少し予想を裏切って遅刻したり、時間ギリギリで来てみてもいいのに」
そう言いながらマグニはシグルトに詰め所を案内してくれる。装備品が置いてある場所や着替える場所もあった。
「で、9時になる前にそこの草原に整列。まぁ軽く走ったりして体動かしたら次は戦闘訓練だ。っていっても安心しろ。ちゃんと素振りとかから始まる。いきなり打ち合ってたらいくら怪我をこっさえてるかわからないからな」
右端の棚を一つ使って良いとマグニに言われる。丁度よくそこの一つが空いていたらしかった。
「ほれ、これが支給されたやつだ」
そう言ってワックスで皮を煮詰めて丈夫にしたレザーアーマーを渡される。
「チェーンメイルの上に着てもいいのか?」
「あん?あ、そうだな。わざわざ着てきてるんだもな。上から着られるなら別にいいんじゃねぇか?」
着てきたチェーンメイルの上からレザーアーマーを装着するが、問題なく身につけることが出来た。最悪、拾われた時に身につけていたというチェーンメイルだけで戦闘訓練に参加しないといけないと思っていたが、レザーアーマーを身につけられるなら、その下にチェーンメイルを着込み、さらに防御力を上げることができる。
「ん、ちゃんと着れたみたいだな。着方は教えるまでもなかったか」
マグニは慣れてるようだな。と言った。言われてシグルトも何の考えもなく装着できたことに驚いた。
「サイズも問題ないみたいだな。肩とか動かしにくかったりしないか?」
マグニに言われて肩や腕を動かしたりしてみる。特に抵抗もなく、サイズは問題ないようだった。
「あぁ、大丈夫だ」
なら良かった。そう言ってマグニは眠そうにあくびをする。
「そう言えば、シグルト。あれから体を動かしたりはしたのか?」
「エイルさんとスクルディアが許してくれる範囲内で素振りくらいはしていた」
「そっか。まぁ、今日は軽く流す程度に頑張れや。気張るのもいいけど、お前はまだ病み上がりなんだからよ。あんまり無茶したってわかったら、3人に俺が監督不届きで怒られちまう」
そう言ってマグニは肩をすくめる。見ていて感じたが、やはりマグニと女性3人なら女性の方が発言力が強いようだった。
「情けないなぁ、マグニ。フレイアは年下で、スルーズはお前の妹だろうに」
シグルトがしっかりしろと笑うと、うるせぇ。とマグニはため息をつく。
「女は強し、なんだよ。お前もそのうち思い知るぞ」
「なにを言ってる。あんな綺麗で可愛い女に囲まれていて、贅沢を言うな」
シグルトがそう言って笑うと、マグニはそうなんだよな。と深々と溜息を吐く。
「だけどよぉ、綺麗な花には棘があるもんなんだよ。俺をやっかんでる奴らはそれが理解できてねぇ。大体にして、二人とは幼馴染なだけだし、スルーズに至っては妹だ。他の同世代の奴らもいるにゃいるが、親同士の付き合いとかもあったんだから仕方ねぇのによぉ」
そう言ってぼやくマグニ。やはり三人とも人気がある様子だった。あの容姿と、三人それぞれの優しさや性格を考えればそれも当然かもしれないとシグルトは思った。
「そろそろ二人も結婚を考える時期だろうし、一応うちのも結婚できる歳だからなぁ」
二人とも適齢期であったし、スルーズも成人するから結婚はできるという。
「まぁ、スルーズはまだ嫌だと言ってるけどな。スクルディアは父親、エイルさんのこともあるからなるべく結婚を遅らせたいし、エイルさんの世話のことも考えてるみたいだ」
スクルディアの母親は若くして亡くなったと聞いていた。だからこそ、唯一の肉親である父親のことが気になってしょうがないのだろう。マグニはとっとと結婚すれば良いのにと肩をすくめる。
「さて、ちょっと早いけど行くか。もう少ししたら人が来て込み始める。なんか言わされる可能性あるから、少しは考えておけよ」
そう言いながら、詰め所前の草原にマグニは向かっていく。シグルトももう一度レザーアーマーの調子を確かめながら外に出る。先日の決闘と良い戦い慣れている自分は、何者だったのだろうかという漫然とした不安はあるが、それを気にしたところで始まらない。まずは目の前のことをこなして生きていくしかないのだと言い聞かせ。
テュールの挨拶は簡潔に終わった。そのまま武装して走らされる。決してペースは速くないが全身が重く、武器や防具で動きにくいなか走るのは大変であった。素振りと走り込みは多少なりとやっていたが、武具を身につけるか否かでこうも違うかと思わされる。
「お前、馬鹿だろ。素振りする時にでもチェーンメイル着なおせばいいのに。手入れだって面倒だろ」
息を切らせながらマグニがシグルトに突っ込む。シグルトも全くそのとおりだと思った。防具を身に着けていないものはいないが、チェーンメイルを着込んでいるのはシグルト一人のようだった。
「しかし、お前体力あるな。普通初日の奴は大体もう脱落してるのに、チェーンメイルまで着こんでて走れているんだから」
走り始めて一時間程度は経っていた。シグルトも疲れてはいたが、まだ走れないことはなかった。それからもう少し走らされ、テュールから終わりの合図がかかる。皆最後は全速力で走らされる。シグルトも全力で走ったが、やはりチェーンメイルの重たさもあってか順位は芳しくなかった。
皆息を切らせている。テュールは小休憩をとると言うと、皆重たい防具を脱ぎ、汗を拭う。冬とはいえこれだけ走れば汗もかくし、それを冷やせば風邪をひく。
「夏は夏で地獄だぞ、すっげぇ臭いから。訓練終わったら温泉が基本になる」
それは想像に容易かった。しかし想像が容易いからといって、その地獄を想像したくはなかった。
「おう、流石だな。基礎体力もばっちりってか」
そう言って声をかけてくれる人間もいた。シグルトはまぁなんとか。と答える。
「さて、そろそろ休憩も終わりだ。とっとと着なおさねぇと」
マグニがレザーアーマーを手早く身に着け始める。周りも皆そうしているので、シグルトも急いで着込む。
「小休憩終わり。素振り二人一組で始め」
マグニがほら、と槍を構える。互いに対峙して、素振りを行うのだ。間違えても当ててくれるなよ、とマグニが笑う。その減らず口をいっそ閉じないようにしてやる。とシグルトがと言うと、そりゃ勘弁とカラカラ笑う。
「マグニっ」
テュールの怒鳴り声。マグニがうへぇ、とうなだれる。周りからクスクスと笑い声が起きる。シグルトも困った奴だと軽く笑い、黙って素振りを始めるのだった。
素振りも終わり、ついに戦闘訓練に移行する。剣は間違えても切れたりしないように、しっかりと布のカバーをつけ、さらに綿をつめて相手に怪我を負わせないように配慮をする。木剣を使うのも自由だが、実践で使うのは木剣ではないからほとんどのものは布のカバーをつけていた。
戦闘訓練はきわめて単純だった。二色どちらかの色の布を両袖に巻いて、自分たちとは違う色の相手をひたすら倒していけばいいのだ。シグルトが手に取った色は白だった。
「始めっ」
その声と鐘が鳴り響く。それを合図に同時に両軍は走り、ぶつかり合う。陣形も何もあったものではなかった。
目の前に出てきた男をシグルトは左に薙ぎ払う。男はそれを盾で受ける。空いた手でシグルトを突き刺そうとするが、シグルトは剣で思い切り敵を押す。男はそれでバランスを崩した。盾で隠れていない右腕を斬りつける。いくら布と綿で覆われていてもダメージはある。。シグルトは男が怯み盾から頭が出た。そこを軽く叩く。それで男は両袖の布を外して戦場を出なければならないのだ。
左側で味方やられそうになったのを確認し、横合いから剣を叩き込む。肩をしたたかに打たれ、男はそれで終わったと判断したのだろう。袖から布を外して立ち去る。
「随分と派手にやってるなっ」
そこへ斧と剣を持った二人組みの男が突っ込んでくる。シグルトの記憶が正しければ、スコルとハティという男たちだったはずだ。二人の男がそれぞれ左右から襲い掛かってくる。
スコルの斧の一撃をかわすと、ハティの剣が迫ってきていた。連携は確かに取れている。しかし、それでもその攻撃はシグルトにとって脅威ではなかった。シグルトはハティの剣と己の剣をぶつけ合う。
「っつぅ」
シグルトの剣はハティの剣とぶつかり大きく弾く。その衝撃でハティの体勢は若干崩れていた。スコルが援護するより早くシグルトはハティにショルダータックルをくらわせ転がし、剣で軽く小突いてやる。ハティは布を外し立ち去る。
こんなに早くハティがやられることを予測していなかったのか、スコルが攻めあぐねている様子が見て取れた。シグルトはいつ回りから襲われるかもわからないと、スコルに襲い掛かる。スコルの武器は戦斧、いわゆる超重量武器。振るえばシグルトがいくら力があろうと弾くのは難しかった。
スコルが反応してシグルトの剣に斧をぶち当ててこようとするが、重量武器の宿命。初速が遅いのだ。斧が振るわれるより早く、シグルトはスコルに剣を突きつける。スコルは一瞬それを無視しようとするが、シグルトはそのまま剣を眼前に突きつける。スコルはそれで諦めようで、布をはずして出て行く。
その後もシグルトは戦いを続けた。しかし、人数が人数であり、混戦状態だった。全体として押しているのか押されているのかすら、よくわからなかった。とにかく乱戦混戦で、一歩間違えれば味方に襲い掛かってしまいそうなのだ。
息を切らせ、必死で目の前の敵と戦っているとき、鐘の音が聞こえた。訓練の終了。実戦であったなら退却の合図だった。
「やめっやめぇっ」
チュールの大声と共に鐘は何度も何度も打ち鳴らされる。完全に戦闘が終わるまで、それは打ち鳴らされ続けた。
「白が二百十人。紅は百八十人」
それぞれの生き残りの数のようだった。確かに、立っている人間は白の方が多い気がした。
「紅は詰め所の掃除だ。速やかに着替え取り掛かれ。その間に白の方は昼食をとるように」
チュールから軽い挨拶があって、終わる。白組だった人間は昼食に、紅は掃除をした後取るようだった。
「あ、シグルトは白だったんだ」
フレイアとスクルディア、スルーズがいた。三人とも急がしそうに食事をよそって男たちに渡していた。
「あぁ。3人は?」
「あら、知らなかったのかしら。私たち女は炊き出しよ。男が必死に訓練してるのに、なにもしないんじゃあ、ひどいじゃない」
それも男とは違って当番制だけど。とスクルディアは笑う。
「そうだね。でも、ここで失敗すると良いお嫁さんになれないんだ。一種の花嫁修業に近いかな。ここで、全然さっぱりだと料理ができないって言われちゃうから」
そうなのか、とシグルトが話をしていると、後ろから早くしろと怒られる。
「おっと、そんなに怒るもんじゃないよ。ちゃんと料理はあるんだからさ」
そう言ってスルーズが後ろの人間に食事を差し出す。男はそれで満足したのか列を抜けていく。気が利くし、愛嬌があって良い娘だった。
「邪魔になるし、そろそろ行くな」
「えぇ。お疲れ様」
「またね。シグルト」
「風邪を引いたりしないように気をつけてくださいね」
三者三様に返してくれる。シグルトは料理を受け取って食べ始める。誰が作ったのかわからないが、美味しかった。
「流石はマグニを倒しただけあるな。今日の戦いも見事だった」
テュールがそう言って、シグルトの傍らに来る。
「お疲れ様です」
シグルトが挨拶すると、そうかたくならなくて良いと笑う。
「マグニやブールが紅なのに紅が負けるなんて珍しい」
そう言いながらテュールは、椀に盛られた鶏肉の入ったシチューを食べる。
「シグルトも、かなり活躍したようだしな」
そう言われても、シグルトは初めての訓練であったか。だから、そんなことを気にかけている余裕はなかった。
「スコルとハティのコンビやニーズも倒した。皆自警団の中ではそれなりの腕前だ」
シグルトはまだ誰がどれくらい強くて、それが自警団の中としてどの程度強いのかもわからなかった。だが、テュールがこう言う程度に、今日倒した人間は強かったのだろう。
「とにかく必死だったので、よくわかりません」
それは間違いなく本音であった。体は戦うことを覚えていたとしても、シグルト自身は慣れていないのだ。
「マグニを病み上がりで倒し、集団戦でも力をきっちりと発揮する。本当にガルム旅団をシグルトが退けたのではないか」
そう言ってテュールが笑う。テュールにそうであれば良いとシグルトは言って、少しぎこちなくだが、笑い返す。
テュールはこれからも励んでくれと言い残して去っていく。
「俺が、ガルム旅団を、か」
ガルム旅団を倒したのではないか。そういわれてもシグルトにはしっくりとこない。なにせ、自分で努力したわけでもないのにある力なのだ。シグルトは自分がどんな人間だったのだろうか。どんな歴史をもって、力を得たのかと、灰色の冬空を仰ぎ考えるのだった。
何年か前に書いて、そのままになっていたものです。とりあえず、1章を読んでもらえたら全体的な雰囲気は伝わるかと思って一気に投稿しました。これからは週に3,4本ずつ投稿していく予定で、今月末か来月の初めくらいには全編投稿を終える形になると思います。