名前のないどこにでもあるただの授業 其の参
次から物語は進みます。多分。
あれから何日もたった。しかし日常は変わらない。
いつも通りレインと二人で学校に行く。
「よォ〜レオにィ、レインちゃァ〜ん」
教室に入った途端、クロノスが元気よく挨拶してきた。
「おはよう、クロノス」
「フン」
横でレインがイラついているようだが、まぁ喧嘩をし始めるよりはマシだ。
「あれれェ〜レインちゃんはァ〜、挨拶なァいのォ〜」
そのレインに挑発するクロノス。いつも通りなので魔力を耳の周りに漂わせ俺の耳の周りの空気を振動させる。すると俺の耳にはジェーという羽虫でも飛んでいるかのような音が聞こえてくる。これは耳栓という技だ。レインのお説教を聞き流すために作った技だ。
「ーーーーーーーーーーーーー」
「ーーーーーーーーーーーーー」
レインとクロノスが何か言っているようだが何も聞こえない。少し時間が経ちクロノスはいつも通り何処かに行った。レインも落ち着いたようで何かブツブツ言っているようだった。やがてゾロゾロと生徒が集まってきた。俺はもう耳栓を切っていいだろうと思い、耳栓を切る。しかし今だにレインはブツブツ言っていた。
「…す…いに……ませ……ら……る」
横で聞いていると結構怖い。そんな感想を俺が抱いているとドアが開く。
「全員いるかぁー、なら授業を始めるぞー」
その言葉が終わると同時にドアが勢いよく開く。そして
「すみませェ〜ん、おッくれましたァアベシ」
言葉の途中に殴られクロノスは吹っ飛んで行った。
「じゃあ今日は昨日の続きで…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…ということだ。なんか質問あるかぁー。ないなら授業は終わりだ。午後からの実技は別館でやるぞ。遅れるなよ」
そう言って先生は出て行く。俺とレインは食堂に向かうことにした。そして部屋を出た時、
「ジャジャーン。俺ェ〜サンジョ〜」
とクロノスが俺たちの前に現れたのだが、俺とレインは無視してそのまま食堂へ向かった。
食事を終え、別館に入ると俺はなんとも奇怪なものを見た。クロノスが別館にもうついていたとは。遅刻魔のあいつがここにいることにビックリしている俺とレインにクロノスが近寄ってくる。
「おやァ〜、レオくんとォ〜レインちゃんじゃァありまァ〜せんかァ〜」
そう絡んでくる。いつも通りのクロノスか。俺は耳栓を使って周囲の音を遮断する。そしてレインとクロノスの口喧嘩が始まった。
「ーーーーーーーーーーーーー」
「ーーーーーーーーーーーーー」
両者激しく口撃しているようだが俺には聞こえない。やがてAクラスの人がやってきた。それを見た俺は耳栓を切りお互いの仲裁に入る。
「はいはい、これ以上続けると先生に怒られますよ」
レインはそれで止まる。評価が下がれば当主様に色々と言われるのだ。しかしクロノスは止まらない。
「レェオくゥ〜んとめないでェ欲しいなァ〜」
俺はクロノスにだけ聞こえるように近ずいて言う。
「なぁクロノス。お前のそれ、キャラ作りだって言っていいか。レインに」
その一言でクロノスは黙る。前に一度脅したのだがそれがかなり効果があったのでそれ以降かなり乱用させてもらっている。
「わかったよォ〜」
クロノスとレインは完全に口喧嘩をやめた。そしてしばらくしていつも通り先生が来る。
「よぉーし、全員いるなぁっとってクロノスがここにいる?!今日は槍でも降ってくるのか?まぁいい、授業を始めるぞー」
そう言って先生はクロノスを引っ張っていく。
「いつも通り2人組を作れ。そしていつも通り試合をしろー」
俺は誰でもいいからレイン以外と組むことにした。そこらへんで捕まえた彼女に対戦を挑むことにした。レインはイヤイヤ寄ってきた男子と組む。レインはあんな性格でも美少女なので人気がある。いやあの性格だからこそ人気があるのかもしれない。ほら、罵倒されて喜ぶアレ。まぁそんなこんなで相手は見つかった。
「俺はレオ。よろしくな。であんたは?」
「ぼ、ボクの名前はエルザ。よ、よろしく」
なんかかなり緊張しているようだ。そういう人物なのだろうか。
「じゃあ始めるか」
そう言って俺は魔力循環させる。彼女は魔力を纏い始めたがスピードがかなり遅い。彼女が動くまで待つ。
「先手は譲るよ」
行ってみたかったセリフベスト10に入る言葉を言う。やっぱこう言う言葉はかっこいいな。うん。
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」
彼女は俺の方に跳んだ。そして俺の射程のギリギリのところで方向転換し右に跳ぶ。右側から強烈な蹴りがくるがそれを右手でガードする。筋力と魔力操作において俺の方が上のようなので簡単にカードすることができた。俺はガードしていない左手で足首を持とうとするがギリギリで避けられた。結構な強さを持っているようだ。さすがにクロノスほどじゃないが、レインなら戦えるのではと思う。
「次はこっちから行くぜ」
そう宣言して、彼女の方へと跳ぶ。彼女は左側に跳んだ。俺はそれを追うため足を地面につける。そして力を貯めて、走り出した。俺の方が早いようですぐに追いつく。彼女は足をつき俺に向かって跳んできた。タックルをするようだ。俺はその軌道上に拳を叩き込んだ。それは彼女の頭にクリーヒットする。も手が痛い。かなり石頭のようだ。それでも彼女は吹っ飛んで行った。
「硬ぇなぁ」
ボソッと呟く。少し愚痴った後、彼女に向かって跳ぶ。そして先ほどの攻撃で転がっている彼女の喉に突きを寸止めする。
「ま、負けました」
彼女は敗北宣言をした。よし。勝利だ。この組手で勝利するのは3割ほどだ。俺は自分で言うのもなんだが、このクラスでもレベルの高い方に位置するのだが、なぜ勝てないのかと言うと、俺の相手の7割ほどがクロノスとレインなのだ。クロノス相手だと切り札使わなければ勝てないし、授業で使ったらその後の組手に支障が出てくる。レインだとシュジンノケンゲンを使い、俺に負けを強制してくるため全く勝てない。その2人のせいで俺は負けの方が多い。はぁ。
「よし終わったかぁー、じゃあ勝ったものはこっち負けたものはあっちで組手だー」
俺は勝った方に行く。すると
「よォ〜、レオくゥ〜ん。組手をォ〜やるぞォ〜」
ほら、また来た。
「はいはい。じゃ、行くぜ」
勝てる可能性はそのままで1割、切り札使用で5、6割ってとこか。まぁ切り札は使用しないんだけど。俺はクロノスに向かって跳んだ。
「危ないよォ〜」
クロノスはそう言いながら足を上げ、その足を振り下ろすことで、地面を踏み鳴らす。するとクロノスの前の地面は膨れ上がる。俺は足でブレーキをかけ、左に方向転換する。
「実はァ〜これ不発弾w」
クロノスがそう言うと、地面は急に萎む。膨れ上がった影響で見えなくなっていたクロノスの全体像が見える。何かを投げるモーションをしていた。そして手に持っていた石を投げてきた。それは俺がそのままのスピードで突っ込んだときいる場所に向かって投げられたが、俺はブレーキで止まることで避けた。
「空中爆破ァ〜」
その言葉と共に、俺の目の前で爆発した。
「クッ」
煙と爆風が俺を襲う。煙のせいで周りが見えない俺の脇腹に突然、衝撃がくる。クロノスに殴られたようだ。俺は吹っ飛ばされながらも体制を整える。すると目の前に石が落ちてくる。そしてその石は落ちた瞬間光を放ち、爆発する。
「チッ」
爆煙と爆風が俺にダメージを与える。俺はまた吹っ飛ばされるが立て直す。そしてクロノスを視界に入れようと顔を上げたとき視界の殆どは黒だった。そして顔に衝撃がくる。
「ガァッ」
俺はそのまま気を失った。
「………ねー。……は…いに……よー」
何か間延びした声がする。ゆっくりと目が覚めてきた。俺は目を開けるとそこに広がっていたのは、真っ白な天井にかかっている薄緑のカーテン。つまりそこは保健室だった。
「ふぁ〜」
欠伸が出る。俺は眠気を感じるが無視してベットから降りる。そしてカーテンを開けた。
「あらー、レオさん。起きたんですかー」
眠気を誘う声がする。この声の持ち主は保健室の主であるレバーさんだ。本名はレバーティン。俺はここをよく使うのでレバーさんに覚えられている。ここに来るのはクロノスのせいだが。
「レバーさん、おはようございます」
「はいー、おはようございますー」
なんとも間抜けそうな声の人だが、学園でも五本の指に入るとまで言われる人だ。彼女は睡眠魔法を使うらしい。
「ふぁ〜、じゃあ俺はこれで」
「いえーまだここにいてくださいよー。少し安静にしていてくださいー」
そう言われて渋々座る。なんだか眠い。この人の魔法は確か魔力に触れるだけで睡魔に襲われるらしい。
「ふぁ〜」
「眠いんですかー。なら、寝ててくださいねー」
すごく眠い。なんなも考えられない。寝よう。俺は横になって寝た。




