名前のないどこにでもあるただの入学
この会について何か言うとすれば、いともたやすく行われるえげつない行為でしょうかね。
3年という月日が経った。思い返せばいろいろあった。暴君の付き人になる為に言葉遣いを直したり、自分勝手《レインお嬢様》の信頼を勝ち取る為、ある程度一緒にいたり。なんだかんだあって3年経った。その間、魔力の修行と握力の修行は怠らないようにしていた。そのおかげで握力は握手で手の骨を折る事ができるくらいまでになった。ちなみにこれはリバート家で開かれたパーティで、お嬢様に来た奴が近寄ってきて俺の事を罵倒しやがったからイラついていた時、ソイツが握手の時俺に対して圧力をかけるつもりだったのか力入れてきやがったから軽く本気出して握ったらボキボキボキという音がしたのだ。結果ソイツはヒィヒィ言いながら汗と涙と涎と鼻水を垂らして転げ回っていた。魔力のほうも色々と成果が出た。例えば、魔力刀という一瞬で魔力で手を刀のような切れ味にして対象を切った後すぐにそれを霧散させる技を習得した。この技のいいところはスピードが前までのよりも段違いな事と相手にどういう攻撃かわからない事だ。まぁほかにも色々と成果はあるのだがそれは機会があれば。
まぁそんなこんなで3年経ち俺とレインはとうとう入学となった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「本日はお日柄もよく…」
入学式が始まった。在校生のスピーチらしい。長々しい話が終わるまで後どのくらいであろうか。
「…というのを最後に在校生の言葉を終わりにしたいと思います」
5分くらいだろうか在校生の生徒は元の席に戻っていった。彼が戻った後、新入生の成績一位の人が挨拶する事になっている。また長いのが。
「ふんふんふーん♪」
鼻歌交じりに壇上に誰かが上がっていった。
「ふんふーんふんふーんふん♪」
彼はこちらを向いても鼻歌をやめなかった。そしてこちらの方を向くと一気に鼻歌をやめてピシッと背筋を伸ばした。そして右手を上に上げて、
「新入生代表、クロノスで〜す?」
彼は初めっからまともじゃないスピーチを始めた。
「今日は〜なんか〜成績1位という事でね〜ここに立たせて、貰いましたァ」
そう言って彼は頭に右手を乗せ左手は顎の下そして舌を出して完全に人を馬鹿にした態度を取っていた。
その馬鹿にしたような話し方とその態度にさすがに怒ったのか先生が止めに入った。
「あれれ〜。なんで先生ィがここにきてるんで。え?ふざけるな。ふざけてなんかありませーんよォー」
クロノスとかいう生徒は先生に連れられていった。
「ぼ、暴力反対ィー」
なんとも変な彼の挨拶?が強制終了された。その後も彼の所為で変な雰囲気になった入学式はグダクダやったあと解散になった。
「はー。なにあれ本当に学年一位なの。カンニングとかしたんじゃないの」
「あれで一位とかマジ終わってるなこの学年w」
先程のスピーチのことで色々話されているらしい。俺はレインを連れて行くことにした。彼女をここに置いておけばどうなるかなど火を見るよりも明らかだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺とレインは1のAクラスの教室に入った。ここの教室は黒板を頂点とした扇状の部屋に机と椅子が置いてあるどこかの大学のような造りだった。その教室の中には何人かの生徒がもう座っているようだった。俺とレインはその中でも後ろの席に座った。
1のAクラス、それは実技、座学のテストにおいて高い点数を獲得した生徒、又は魔法を持っている中でもその魔法が特に珍しい生徒が入るクラスだ。俺は実技、座学の両方で高い成績、レインは座学で最も高い成績ということでこのAクラスに入った。
時間が過ぎていきゾロゾロ他の生徒が入ってきた。数分後先生が誰かを引き連れて入ってきた。それは先程のスピーチで馬鹿をやらかしたクロノスという生徒だった。
「おいクロノス。お前のクラスはここだ」
「はい!」
クロノスはビシッと背筋を伸ばして手を上げながら返事をした。その返事を聞いた先生はクラスから出て行った。クロノスの事をここまで連れてくるだけだったようだ。何をするかわからないから。そのクロノスはというと、鼻歌を歌いながら歩いて俺たちのすぐ近くの席に座った。
「よろぴく〜」
クロノスが馬鹿にしたような挨拶をするとレインは彼のことが気に食わないのかムスッとした表情を浮かべていた。これはヤバイ。この顔はマジで爆発する三秒前だ。と思い俺はレインよりも先に挨拶をした。
「よろしくお願いしますクロノスさん。俺はレオです。こちらはレインお嬢様。私の今の主です」
そう挨拶と俺の名前を言いながらレインの紹介をする。レイン派こういう風に紹介すると何故か喜ぶ。何故だろうか。兎も角、レインは先程の紹介で少し気を良くしたのか騒がなかった。その後特に話に進展もなく先生が来るまでは静かだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…ということで明日からの学校生活頑張ってください」
先生の話も順調に終わりこのAクラスの生徒は皆、解散し始めた。
「お嬢様。私たちもい「あんたがリバート家のお嬢様か?」ハァ」
俺とレインが帰ろうとすると1人の男子生徒がレインに話し掛けてきた。さっさと帰りたい俺は面倒な事、つまりはレインが会話をすることになる前にソイツの対応をした。
「はい、この方は「お前に聞いてんじゃねぇよ、カス」」
俺が喋るとソイツは俺を睨め付けて俺の言葉を遮った。ちょいとイラっときたがここは我慢。俺が怒ればレインの暴走を止めれなくなる。レインも少しはマシになっているが走り出せば完全に暴走する。だから俺は優しく彼に話し掛けた。
「あのー私の言葉を遮られては「お前はお呼びじゃねぇつってんだろお前は言葉も理解できねぇのか?カス」」
ソイツはそう言いながら俺を突き飛ばした。
………プチッ
「お嬢様少し離れていてくれますか」
「分かったわ」
「なんだテメェ俺を睨め付けやがってなんだやるのか」
俺は魔力を体に循環させた。
「やる気満々じゃねぇか。フンッ。お前程度簡単に潰してやるよ」
俺は構えず歩いて彼に近づいた。
「ハンッ。構えずにいるとは雑魚だなテメェ。やはりリバート家のお嬢様の世話をするために同じクラスに入っただけの一般人だなぁ」
俺と彼の距離が2メートルにまで縮まった時、大きな笑い声がした。その声がした方を向くとそこにいたのはクロノスだった。
「いやァ。面白いねぇ。自分とぉ相手の実力がわからない奴ゥ。ゥヒフハハハハ」
「確かにそうだな。こいつ、馬鹿すぎて笑いが出る」
その言葉にクロノスは目を見開いて言った。
「ナァに勘違いしてんですかぁ?あんたのォ事だよぉ〜雑ァ魚さぁ〜ん」
そう言いながらクロノスは彼を指差した。その言動と行動に怒った彼はクロノスに向かって跳んだ。
「誰が弱いだと。カスがぁ」
彼がクロノスの前にきた時クロノスは指を下に向けながら言った。
「キ・ミ」
そしてクロノスは彼の攻撃を避けた。そして彼はクロノスが立っていたところに降りた。
「そこ、危ないよォ〜」
すると彼の足元が膨らんで、爆発した。煙の中にからボロボロになった彼が出てきた。
「あらァ手加減はかァ〜なァ〜りィ〜したけどォ倒れるくらいの威力はァあったんだけどなァ〜。予想よりは少しDAKE☆強いかなァ」
「クソがぁ。殺す」
彼がそう言うとクロノスは両手を前に出してバタバタさせながら言った。
「キャー、怖いィ〜。でもねェ。出来ないことは言っちゃダメだぞ」
そうクロノスが言った瞬間、彼はクロノスに飛びかかった。クロノスは彼の攻撃を避けながら制服のポケットに手を入れ何かを出そうとゴソゴソしていた。やがて何かを見つけたクロノスは左手の握りこぶしを彼に突き出した。それを彼は避けて言った。
「今の攻撃、見え見えなんだよカス」
「えェ〜攻撃ィ〜いつしたの俺」
そう戯けながらクロノスは左手の甲を下にして手を広げた。そこにあったのは紙クズだった。
「コレ、君ィ〜。こうゆう風にィ〜グシャグシャするのは簡単だけどねェ〜」
そう言いながら潰して見せた。
「面白くないじゃん。だァ〜かァ〜らァ〜、手加減してあげてるのォ〜。分かったァ?」
そう言われた彼はフルフルと震えてクロノスを睨み付けた。
「このクソ野郎がァ!」
そう言いながらクロノスに向かって跳んだ。クロノスは紙クズを投げて言った。
「ハイッ。お友達」
そしてそれが彼に当たった時彼の体は紙クズの爆発に巻き込まれた。
「おしまい」
そう言ったクロノスは俺達に近づき言った。
「これからもよろしくゥ〜。レオ君」
そう言ってクロノスは血だらけの彼を残して何処かへと言った。クロノスは俺とあいつの争いを一応は止めてくれた。俺が面倒臭いことにはならずに済んだ。そこはありがたい。だが一言言わせて欲しい。
「俺のこの怒りはどうすればいいんダァ!!」
今日一番の叫び声が聞こえ、その事について先生に怒られた俺だった。
クロノスについて何も言わないで欲しい。彼には悪気はないんだ。あるのは悪意だけなんだ。




