2
「な……っ!? お、おまっ!!」
「馬鹿。もっと告白くらい、かっこよくしてよ」
自分のやったことが恥ずかしくて、私は彼から素早く離れて、ぬるくなったミルクティーを飲む。
体ごと彼と反対方向に向きながら、ごくりと最後まで飲みきって立ち上がった。
そして、目も合わせずに言う。
「あ、アンタみたいな馬鹿。私が、付き合ってあげても、いいよ―――」
信じられないくらい上からな態度でそう言った。
自分何キャラ? と思いながらも、口をついて出た言葉は止まらない。
「言っとくけど! 大事にしなかったら、許さないからね!!」
言わなくても分かってる。
優しい私の幼馴染は、人を大事にする奴だって。
それに、15年近く私を想ってるくらいの馬鹿なんだから、それこそ馬鹿みたいに大事にしてくれるんだろうって。
それでも、急に友達の態度を崩せるわけもなくて、私はクルリと振り返って、彼を通りすぎて缶を捨てに行こうと一歩を踏み出した。
瞬間―――
引き寄せられた体が、彼の足の間に立たされて。
私の腰に、両手を回された。
ぐっと引き寄せられて、ベンチに膝がついて、折れ曲がると彼の顔に私の顔が近づいた。
「言っとくけど」
彼が私を睨んで、告げる。
「離さないから」
その言葉の強さに、ドキドキが高まっていく。
ほんの少し前まで、友達にしか見えなかった彼が、どんどん男に見えてきて、頬が赤くなる。
高鳴る心臓に体が制御できない。
「……う、ん」
恥ずかしいから、「うん」とだけ言った。
そしたら彼はふっと笑って、メガネを外した。
レンズを通さない彼の瞳は、やっぱり輝きと強さを兼ね備えていて、逸らせなくなる。
高鳴る鼓動に合わせるように、彼の左手が伸びてきて、私の髪に差し込まれる。
触れる指先の一つ一つが、まるで髪の毛に神経があるんじゃないかと思うほどにゾクゾクと震えさせた。
ゆっくりと顔が引き寄せられて、耳元で彼は囁く。
「世界で一番、お前を愛してやるから。傍に居ろ―――」




