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 「ちょっと、痛いってば」


 「わざと痛くしてるに決まってんだろ?」




 そう言って、上目遣いに私を見る。



 ニッと笑んで見つめるその表情がなぜか妖艶で。



 私は不覚にもドキリとした。




 「どうにも俺を男に見ないお前にムカついて、彼女作った。なのにお前、それでもアイツばっか」


 「だって! そんなこと一言も!!」


 「言うかよっ、本人に。告って、振られたら俺……お前の友達の立場すらなくなるだろ?」




 切なそうに瞳を揺らす彼。



 今までの強い目が途端にナリを潜めて、それが私にも切なさを与える。




 ―――友達でもなくなったら、嫌だ。




 それは私が3年間思ったこと。




 まさかその気持ちを、私が彼に与えているだなんて、露とも思わなかった。




 それに気が付いて、さっきの喜び反面、罪悪感が芽生えてズキリと胸が痛んだ。




 「……ごめん、ね」


 「謝ってんじゃねーよ」



 


 伸びてきた右手が私の頬を摘まんで、引っ張って離した。



 「痛っ」


 「だから、痛くしてんだってば」


 「もー、なんでそういうことすんの!?」


 「わかんねーのお前?」


 「分んない、けど……」




 射るように私を見つめる瞳に、怯みながら答えると




 「お前を痛めていいのは俺だけなんだよ」


 「は……?」


 「っつーか。俺以外の奴のことで、お前が痛い思いすんの、許せねぇんだけど」


 「はい!?」




 だから、コイツいつの間にこんなキャラになったんだ!? と私はついていけずにパニックに陥る。




 今日私は、クラスの同窓会だったわけで。



 好きだった彼が、結婚していたというショックを受けたばかりのはずで。



 それなのに、この展開は……私には急すぎて、ついて行けない。




 「あのさ」「2択だから」




 切り出した私を遮って、彼は宣言する。



 「へっ?」




 くっ付けた額を離して、私の両肩に手を置いて、肘を伸ばした分だけの距離を置いた。




 そして



 「俺は、友達の領域を侵したから。もう戻るつもりない。だから選べよ。



 俺の傍にいるか。



 俺とは二度と会わないか」





 私の焦りなんか無視して、彼は言いたいことを私にハッキリと言った。



 その瞳は澄んでいて。



 眩しいほどにまっすぐで……



 瞬間。



 この瞳に吸い込まれそうだって思った。


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