26/44
1
あの時もし―――
なんて思ったって、時は戻らない。
それに、私はアノ時に決めたの。
私は今の私を、何一つ後悔なんてしてない。
*
カーテンの隙間から朝日が差し込むのを感じてうっすら目を開いた。
朝だ……
なんて当たり前のことを思いながら、隣で眠る彼を見つめた。
やっぱり、こうして寝てたら変わらない彼。
昔と何一つ変わらない。
少し難しそうな顔してるところも。
温もりも。
何一つ。
だけど、心はどうなんだろう?
私はあの時、あなたに捕まったのに―――
あなたを選んだのに。
近づこうとすれば近づこうとするほど、私たち離れてる気がする。
どうしたら、近づくことが出来るの?
離れないって証明、どうしたら出来る?
眠る彼の前髪にそっと口づけると、愛しさがこみ上げてきてそっと髪を撫でつけた。
―――あなたにどうか愛しさが伝わりますように……
*




