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簡単なことのはずなのに、変に大人になりすぎて言えなかった。
でも、キミに逢えて―――
キミにあの頃の気持ちを受け入れてもらえたから。
そうしたら素直に心の中にストンと落ちた。
私、行かなきゃ。
あの人を捕まえに。
貴方を捕まえに。
会ったらまず初めにどうしようか?
まず初めに抱きついて。
そして謝ろう、ごめんなさいって。
でもそれは……
貴方の申し出を断るためじゃなくて。
直ぐに返事できなかった過去の私に対する謝罪。
嬉しかったこと。
泣いてしまいそうだったこと。
だけど、好きすらまともに言えない私には、ただイエスと答えることすら緊張しすぎて言えなかったこと。
ひっくるめてごめんなさいと言って。
それからキスをするの。
キスして、じゃなくて……奪ってやるの貴方から。
だから言わせて?
愛してるって―――
私、あなたの隣にずっと居たいから。
お願い、待ってて。
ただ逢いたいんじゃない。
私は、私の思いを告げるために貴方に会いに行くから……
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