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会ったら、どうしようとか何言おうとか全く考えてなくて。
ただ思い立ったまま会いに行った。
だから、その先なんて考えてなかった―――
部活を決めたのは、キミが居たからだった。
キミと同じ中学だという友達が、カッコいい子がいるんだーっていうから見に行って。
教室の外からこっそり見て、一目ぼれしてしまった。
一目ぼれなんて……と馬鹿にしてたけど、呆気なく一目ぼれして。
何食わぬ顔をして、彼が入るらしいクラブのマネージャーを希望した。
マネージャーになったら、もっとキミのことを知ってもっと好きになった。
いつか好きだって言えたらいいなーなんて、少女マンガみたく甘い妄想をしてたのに……
まさか、クラブの違う男のから告白されるなんて思ってなかった。
時々そういうことはあったけど、断ったらみんな諦めてくれたのに。
高校に入ったら男の子も変わるのか、彼は執拗に私にまとわりついてきた。
アドレス教えてないのにメールが来たり。
家の近くまでついて来られたり……
不安になった私は、一つの賭けに出てみた。
『フリで、いいから―――』
そんな言葉をつけて、キミに彼氏になってと言ってみた。
本当に賭けだった。
だって、本当は知ってたから―――
キミが、私じゃない女の子を見ていたことなんて、キミを見てたら気が付いていた。
それでも……付き纏わられる恐怖と、これはチャンスじゃないかと思う気持ちと。
どうしても、なんとかしてキミを手に入れたいという気持ちが勝って賭けに出てしまった。
惨敗したらどうするんだーなんてことは全く考えもしてなくて。
ただ、やるだけやってみようってそんな気持ちしかなかった。
だから。
だからキミが『いいよ』って言ってくれた時、本当は涙が出そうなほど嬉しかった。
だけど―――




